以前、ソノラマ文庫から刊行されていたシリーズを、加筆修正しての再刊……ということだそうですが、それにしても、ひかわさんの刊行ペースたるや! 速い! 速いぞ! って感じです。
表四など眺めて設定を拝見すると、わたしにはできない発想で。
主要な交通や戦闘手段に龍を使う〈龍の七部族〉は、〈天上人〉と呼ばれる宇宙人の支配と干渉を嫌って、壮大な〈万里堰〉を築き、〈天上人〉の支配下に入った狄軍と千年にわたって戦いを繰り広げてきた。(以下略)
く〜、かっこいい! とは思うんですけど、自分の中からこういう発想は出てこないんですよね。
たぶん、ひかわさんは、わたしとは違う地平に立ってファンタジーを書いておられるんだなーと思うのです。きっと、すごく違うものが見えてるんだろうなと。
わたし自身はあまり見通しのよい場所に立ってファンタジーを書いているというイメージがないのですが(水の中に潜るとか、地面をほじくり返すとか、そういうイメージをともなうのです、わたしにとって物語を書くという作業は)、ひかわさんはすごく高くて見通しが良い場所に足場を持っていらっしゃるんじゃないかなぁ、と。そう感じます。
個人的な直感の説明って難しいというか、ぜんぜん説明になっていませんが、まあそのように感じております。
龍の七部族 1
著者名:ひかわ玲子(著)
出版社:朝日新聞出版
出版年:2008.10
ISBN :9784022739025龍の七部族 2
著者名:ひかわ玲子(著)
出版社:朝日新聞出版
出版年:2008.11
ISBN :9784022739049
以下日記。
林さんになにかいわれてしまいましたが……。あっ、拙作をお読みいただきありがとうございました。お気に召したようで、よかったです。
それはともかく。
実をいうと、わたしも『迷宮街クロニクル 1 生還まで何マイル?』のあとがきを拝読したときに、
「うっわ、かぶった!」
と思いました。相談して同じような内容を書いたわけではありませんし、このようになさればよろしかろうと教え諭したりなどもしておりません。
つまり、師匠と呼ばれるようなことはなにもしておりませんので、せめて「先輩」くらいで堪忍してやってください。でないと中巻が遅れたときに、師匠とやらが変なサボり癖をつけたに違いない、あいつのせいだと叱られてしまいます。
怖いよぅ。
かぶったのはリンク先に引用されたあとがきですが、もしまだ本編をお読みでないかたは、是非どうぞ。おもしろいですよ。各所で絶賛の嵐です。当ブログでの感想は11月18日に。
余談ですが、『生還まで何マイル?』の元ネタであろうと思われる、マザー・グースの歌……ちょっと検索してみたところでは、「バビロンまで何マイル?」という歌い出しの問いに対する回答の「70マイル」とは人生をあらわしているとか。足が速ければ行って帰ってこられるさ、とつづくのは非常に意味深です。
バビロンとは、キリスト教的には「栄華をきわめた果てに思い上がって建てたバベルの塔」と強く結びついた言葉なのでしょうね。現世的な成功と破滅が表裏一体。冒涜的であるのに、同時に魅力的。それが、バビロンという言葉にまつわるイメージなのかな、と。
複雑怪奇な魅力をもつ京都の迷宮からだって、必要なだけ足が速ければ戻って来られるでしょうね、生きて……。
2巻のサブタイトルはどうなるんでしょう。
マザー・グースって妙に頑張って解釈し過ぎじゃないの、そんなに深読みしなくてもいいじゃない、とたまに思いますが、でも楽しそうなのでもっとやれ、とも思います。
どっちだ>自分
バビロンについては『バビロン』、『バビロニア われらの文明の始まり』、『バベルの謎』あたりが参考になると思います。このへんの本を読んだからといって『迷宮街クロニクル』の理解が深まるわけではないでしょうが、まぁ一応。
ライトノベルだったらこれが思い浮かびますが。そういえばこのシリーズも新刊にぜんぜん追いつけなくなりました。本は家にあるのですが、どこかに埋もれています。どこだろう……。

うさぎ屋さんの世界は、より純ファンタジーで、吟遊詩人のバラッドとか平家物語のような歴史物語という感じがしています。
まあ高橋のかってな印象ですが。
そういうわけで、ひかわさんの作品の系統的な位置づけはなんとなく自分なりに把握してるんですけど、自分自身がイマイチぴんとこないです。
昔の語りものの延長線上にあるという感じなんですかね……。うーん。