2008年08月31日

記憶の技法

 たまたま本の山のいちばん上にあったので、読んでみました。わたしが買ったのではないと思います。ページのあいだから、今はなくなった近所の書店のレシートが出てきて、かなりせつない気分になりました……漫画の内容とは関係ないですが。

 中短編集で、表題作が全体の半分と少しを占めています。ときどき記憶が飛んでしまう女の子が、修学旅行で韓国に行くためにパスポートを取得する必要に迫られ、そのときに見た自分の戸籍抄本に疑問を抱いて……という、大枠だけ見ると「ああ、どこかで見たような?」という話なのですが、語り口と見せかたと展開がすごい。この著者の漫画を読むのは久しぶりですが、やはり独特の感性のある作家さんだよなあ、と思わされます。

 短編「霜柱の森」は、表題作に登場する青い眼の少年の子供時代に関する話、その他「アンナ・O」「女子高校生殺人日記」「粉ミルク」「透明人間の失踪」「恋愛家族」が収録されています。
 どれもこう、ギリギリのラインで底意地が悪いというか、対象をクールに突き放そうとしたら迫って来た、どうしよう! 的な怖さを感じます。
 でも現実って、そんな感じだよなぁ……。

記憶の技法

著者名:吉野朔実(著)
出版社:小学館
出版年:2006.08
ISBN :9784091915399
posted by うさぎ屋 at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画
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