中短編集で、表題作が全体の半分と少しを占めています。ときどき記憶が飛んでしまう女の子が、修学旅行で韓国に行くためにパスポートを取得する必要に迫られ、そのときに見た自分の戸籍抄本に疑問を抱いて……という、大枠だけ見ると「ああ、どこかで見たような?」という話なのですが、語り口と見せかたと展開がすごい。この著者の漫画を読むのは久しぶりですが、やはり独特の感性のある作家さんだよなあ、と思わされます。
短編「霜柱の森」は、表題作に登場する青い眼の少年の子供時代に関する話、その他「アンナ・O」「女子高校生殺人日記」「粉ミルク」「透明人間の失踪」「恋愛家族」が収録されています。
どれもこう、ギリギリのラインで底意地が悪いというか、対象をクールに突き放そうとしたら迫って来た、どうしよう! 的な怖さを感じます。
でも現実って、そんな感じだよなぁ……。
記憶の技法
著者名:吉野朔実(著)
出版社:小学館
出版年:2006.08
ISBN :9784091915399
