内容はいつもの吉野氏らしく、陰陽五行説にもとづいた呪術的な読みときで、持統天皇の行動を解釈していくというもの。以前読んだ『日本古代呪術』と内容的には大いにかぶる部分もありますが、こちらはあくまで持統天皇に焦点をあてています。
著者の説によれば、持統天皇はみずからが天皇位につくために、有力な皇子は我が子まで始末してしまった……ことになっているわけですが、それが真実だとすれば、権力欲とは凄まじきものというしかありません。肥大した自我のおそろしさ、というべきなのかな。
巻末の陰陽五行説についてのまとめはコンパクトに要点をおさえて、非常に読みやすいものになっています。著者あとがきによれば、この部分は編集者の仕事だとか。素晴らしい!
この『持統天皇』という本、もともと、たしか梨木香歩氏の『丹生都比売』の参考文献にあげられていたのがきっかけで、読みたくて探していた本だったのでした。『丹生都比売』は、おそらく持統天皇がいずれ我が子を暗殺してしまうのだろうという雰囲気をちらつかせながら、その暗殺される皇子の視点で描かれた、天武天皇の吉野時代を舞台にした小説……だったと思いますが、読んだのがかなり前なので、ちょっと自信ありません。『丹生都比売』自体、探して探してようやく手に入れた本だったのですが……今や、我が家の本の部屋のどこにあるのかわかりません。とほほ。
持統天皇
著者名:吉野裕子(著)
出版社:人文書院
出版年:2004.04
ISBN :9784409590102
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