読み終わってから帯(あるいは「腰巻き」)を見て、えー、こんな話だったっけ? と思ってしまったのですが……いやたしかに「天才腹話術師」は出てきたし、「死者」とか「結婚」とかのキーワードもべつに無関係ではないというか中心的なものなのてすが。
なんか違う。といって、ではどうなんだと問われても困る。
……まあ、ジョナサン・キャロルだからね!
そんな納得風味の一冊です。相変わらずブラックでダークで非日常が日常を侵蝕してくるときの勢いがたまりません。キャロル読者としては、「きっとこの後、途方もなく嫌展開になるんだ」とか「この素敵な人は実は悪い人か、あるいは情け容赦ない運命にたたき落とされるか、あるいは※※かそのへんだ」なんて身構えながら読んでしまい、だいたいの場合、その予想ははずれないのですが、それでも足下をすくわれるのがキャロル。
どうせひっくり返されるんだから、無駄に用心しないで、思いきりこかされようぜ! と自分に檄をとばしたくなる有様で、へっぴり腰で読みました。そして裏切られずに裏切られましたよ……。
最後の方は「どうなるの?」とずいずい凄い勢いで読んでしまい、「えっ、読み飛ばしちゃったかな……このへんどうなったの?」となるのも、いつも通りです。もったいないからちゃんと読め!>自分
もう浅羽訳のキャロルは読めないんだなぁと思いつつ。でも、新しい訳者のかたも、さして違和感のない読みやすい文章でよかったと思います。浅羽さんの模倣というわけでもなく、でもそんなに遠くない雰囲気をキープしているというか。すごく良いお仕事をなさったのではないかと。
浅羽さんの後任って、大変だろうなぁ。お疲れさまです。
読めないんだなぁといいつつ、実は浅羽訳でまだ読んでいないキャロルが残ってはいるのです。こんなにいろいろ積んでしまって、読書量、落ち過ぎだよ……。
薪の結婚
著者名:ジョナサン・キャロル(著)
市田泉(訳)
出版社:東京創元社
出版年:2008.04
ISBN :9784488547127
