ポール・ドハティは歴史ミステリ作家……なのですが、この人の本でわたしが好きなのはなんといってもこまかい(臭い、汚い)風俗描写。これに尽きます。これでもか! というほど不衛生。そこまでか! というほどグッチャグチャ。それを読んでたまらんワァと感じる自分をきもち悪く感じないでもないのだけど、さもありなんと納得できるから好きなのでしょうね……たぶん。
なんとなく、信憑性を感じるというか。説得力があるというか。
それだけの説得力を背景描写に割きながら、メインの骨格となるミステリ部分は毎回「いや、そんなめんどくさいことしないんじゃないか?」というくらいに謎! 不可能! 方向に傾斜しているのもおもしろい。それでバランスがとれているというべきなのかな。
著者あとがきがネタバレでびっくりしました。うっかり先に見てしまったので(だから本の後ろから見る癖はなんとかしようよ!)、「こいつが黒幕だよな?」が名前が出た瞬間からわかっちゃったのは、もったいなかったと思います。ううう。
訳者あとがきは、歴史から時代背景から風俗から、ざっと概観するかたちで手際も歯切れもよい内容で、とてもおもしろかったです。参考文献まで挙げられて、中世英国に理解を深めていきたい読者にとって、興味深い読みものになっていると思いました。
教会の悪魔
著者名:ポール・ドハティ(著)
和爾桃子(訳)
出版社:早川書房
出版年:2008.04
ISBN :9784150018115
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