ルルル文庫翻訳タイトル、かなり(わたしにとって)面白いものがあります。今回もアタリ物件でした。
シャロン・シンといえば、早川文庫FTからプラチナ・ファンタジイというレーベル内レーベルとして邦訳がなされた『魔法使いとリリス』の、あの作家さんですよね?
瑞々しい感性に満ちた、とてもきれいな話でした。たぶん著者は『最後のユニコーン』がとても好きなんじゃないかな……と、いうような。
今作は、『魔法使いと〜』に比べればグッと親密な感じ。もう全然別世界だな、というほどには物語世界が遠くありません。これはヒロインの造詣に依るところが大きいように感じます。
明るく元気で鈍感気味だけど素直な女の子が、数年かけての成長を通して「幸せな自分のまわりの生活」が、実はさまざまな翳りを帯びていることを知る、という物語です。が、とても苦かったり怖かったりする部分もあります。
たとえば、エリサンドラは、いつも落ち着いていて、王子の婚約者にふさわしく穏やかで美しいヒロイン自慢の姉ですが、ヒロインが無邪気に信じているようには婚約者を愛していないし、自分の置かれた状況――政略のための駒として、王子あるいは別の権力者のもとへ嫁がされるしかない――を冷静に把握し、それを微笑の奥に隠しているといったように。
相変わらず異種恋愛、人外のものにどうしようもなく魅了される人間の姿も描かれていて、三つ子の魂百までというか、この書き手はほんとうにこういうテーマが好きなんだな! と思わされました。ただ、この人外テーマはヒロインと密接にからみつつ、少し距離を置いたところで展開されるという仕掛けなので、それで「親しみやすい」感じなのかな、と思います。
いやぁ、ヒロインが鈍感なのにもホドがある! と思うのですが、実に良い胸キュンでした。もちろんわたしのイチオシはケインで! 途中、かなりロデリックにもよろめきましたが(かっこ良過ぎるでしょう、この人!)、やっぱりケインで。ひとつよろしく(何を?)
オーバーン城の夏 上
著者名:シャロン・シン(著)
東川えり(訳)
出版社:小学館
出版年:2007.11
ISBN :9784094520385オーバーン城の夏 下
著者名:シャロン・シン(著)
東川えり(訳)
出版社:小学館
出版年:2007.12
ISBN :9784094520453

最近この手の海外物を入れてくれるので、私の中で高感度が増しています。
これがとても面白かったので、「魔法使いと〜」を読み、雰囲気の違いに驚きました。でもどっちも好き。
先日ルルルからヴィクトリア・ハンリー「オラクルの光」も出ましたが読まれましたか?
「水晶玉と伝説の剣」「ヒーラーズ・キープ」に続くシリーズ第3作です。全部別の出版社というのに戸惑いますが。
でも、ラインナップ自体はなかなかおもしろいですよね。自分の好みが売れ線ではないという自覚はあるので、別の意味で大丈夫なのかルルル、頑張れルルル、と思ったりもしますが……ちゃんと売れてくれているのか、心配です。
ヴィクトリア・ハンリーの『オラクルの光』は、すでに手元にあるのです。ブログで、ほめられているのを見て、買いました。
適当に、「寝る前」以外の時間帯をみつくろって読みはじめたいと思います。