2008年03月22日

読了メモ:旧かなづかひで書く日本語

 旧かな入門書だと思って買ったのですが、本書の半分くらいは、新かなという思想(大雑把な表現かもしれませんが、わたしは本書における「新かな」は「思想」――それもあまり歓迎されざる「思想」である、ととらえて読みました)を日本人に強要した政府や新かな派識者への批判と、旧かなに戻りましょう! という提案ですね。

 わたしは、文化の変化というものは非可逆なものだと思います。たとえそれが強制的にもたらされたものであっても、です。

 これだけ新かなが普及してから旧かなに「戻す」のは、すでに「戻す」のではなく「変化の強制」にほかならないでしょう。
 ふたたび「旧かな→新かな」と同様の強権発動がおこなわれねば、無理なのです。すると、新かな導入に対する批判とほぼ同じ批判が、旧かな復活(達成すれば、ですが)にもふりかかるのは必至でしょう。
 新かなで書かれた文学作品(我々の年代の人間が親しんで来た「書かれたもの」すべて)が、そのままのかたちで受け止めることが困難になるでしょう。数百年前の古典に親しみやすくなるかわりに、親子世代間で書き文字によるコミュニケーションの断絶が起きたり、少し前のベストセラーが読みづらくなったりするのです。
 近い時代のものの方が、遠い時代のものよりわからなくなる。それは不自然である、とわたしは思います。

 ただ、古典をなんでもかんでも新かなに直すのは如何なものか、とはたしかに思わされますね。本書にいくつか実例が載っていますが、まさに目を覆わんばかりです。

 なにやら感想の順序が前後してしまいましたが、もちろん、「旧かなづかひで書く」ための実践的な知識も満載されておりますので、本書を読んできちんと勉強すれば、かなり書けるようになるのではないかと思います。
旧かなづかひで書く日本語

著者名:萩野貞樹(著)
出版社:幻冬舎
出版年:2007.07
ISBN :9784344980471
posted by うさぎ屋 at 22:52| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の本
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