主人公は気弱で純朴な青年……なのですが、なんの間違いか過激なデスメタル・バンドのボーカル(しかも曲も作っている)になってしまったという設定。ほんとはお母さんに聞かせてもいい感じの甘くてさわやかでオシャレな曲調が好きなのに、現実はデスメタル。正気なら「いやいや、そんなことは考えちゃ駄目だ、正しくない」と感じるようなことを、自分が作詞してシャウトしまくりです。そしてライブが終わると「どうしてこんなことしてるんだろう……」と。
ほとんど設定だけで笑えます。
でも、おもしろい反面、これはイタイタしい……かもしれない。自分がなりたかった自分と、現実の自分とのギャップがですね、戯画化されているんだなと見てしまうと、キッツいですね。
デスメタルの伝説になってしまうという突飛な方が「夢」ではなく「現実」という設定なので、逆にそれが虚構感をただよわせて、読者に「ナイナイ、でもあったらオモシロイ」と思わせる仕掛けです。が、実は「現実なんて思うようにならないものさ」な話だよなぁ?
……などと解釈してしまうわたしは、現実になにか辛いことでもあったのでしょうか?
いやまあ仕事が進まないとか進まないとか進まないとかはありますが……。
デトロイト・メタル・シティ 1
著者名:若杉公徳(著)
出版社:白泉社
出版年:2006.05
ISBN :9784592143512
