下巻は和宮降嫁後の苦労話てんこもりで、いやぁ大変大変、です。しかし重要人物が次々コロコロ死んでいくのをみると、篤姫でなくても毒殺を疑いたくなるのはわかりますね。
幕末あたりの知識は通り一遍未満という感じなので、次になにが起きるのか、にも興味をもって読むことができたのは、無知ゆえのお得感アリって感じで。詳しい人だと逆に「ああ、このときにこれをこうしたのか、なるほど!」って読みかたになるんでしょうねぇ。
最近、時代につれて変化してきた価値観について、なんとなく考えます。
この時代の女性たちはほんとうに自分で選べる行為というものが少なくて、男性よりいっそう不自由だった。その男性もやっぱり不自由だった。でも逆に、その「選べない」ということ、選択肢が少なくて済むということが、負担でない面もあったんじゃないかな、ということを考えています。
もちろんその時代に生まれて生き直したいなんて考えてるわけじゃありませんし、わたしは今の時代の人間だから今が好きです。
ただ、「なんでもできる」は「なにをするか選ばなきゃいけない」ことでもあって、そこで立ち止まってしまう人も多いんじゃないかなぁ、と思うことも多いのです。外圧がギチギチに効いていれば、立ち止まることなど許されない。でも、今はそれが緩い状態ですよね。だから逆に、自由が重荷になる。そういうことも、あると思います。
なんか小説とはあんまり関係なくなっちゃいましたが……いやでもこの本を読みながら考えたことなんですけど。
巻末の対談も、おもしろかったです。とくに、篤姫に育てられたお家の(つまり徳川家の)子孫のかたに、宮尾氏が直接インタビューする機会があって、なんて話はわくわくしました。
すごいよ、江戸時代はちょっとその先、すぐ向こうにまだあるんだ! と、思いませんか。少しずつ、遠ざかってはいるけれども。
天璋院篤姫 下 新装版
著者名:宮尾登美子(著)
出版社:講談社
出版年:2007.03
ISBN :9784062756853
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