2008年01月29日

読了メモ:神秘の短剣、琥珀の望遠鏡

 一気に読みました。疲れました。プルマンさん、やりたい放題!

 第一部から第三部へ向かって、どんどんキリスト教的な知識(あるいはせめて精神的バックグラウンド)がないと、これ絶対に受けとめかたが違うよね? という雰囲気が濃くなっていくんですが……わたしの感想はといえば、いちいち神を殺さないといけない文化圏の人たちって、大変そうだなぁ、と。すみません、その程度の素地しかなくて。
 一神教は怖いよなぁ。ひとつの価値観しか認めませんよ、という意味ですから。

 第一部、ぎりぎり第二部前半くらいまでは、なんとか無視して読むこともできたんですが、そこから先はもう「キリスト教者として育ってしまった著者による神殺しと世界の再生の物語」であろうな、ととらえることしかできませんでした。
 つまり、著者の思想はこれだ、と強烈に印象づけられた感があり、思想に物語が従属してるかなぁ、と。
 少し逆説的でもあるかもしれません。著者は、考えろ、疑え、押しつけられたままを信じるな、といいたい(ように思われる)のに、その考え自体がちょっと押しつけがましいくらいに主張されている小説なわけですから。

 ともあれ、物語は預言(という方の文字を使っていいのか、ちょっと迷いますが……)の子であるライラをめぐり、さまざまな攻防をくり返しながら進みます。本人の知らないところでこんな人がこんな努力を……という場面も多く、群像劇としても読めそうな感じ。
 展開はスピーディだし、著者の筆力はすごいな、と唸らされます。

 第二部から出てきたキャラクターで魅力的なのは、トンボ乗りの小さな人たち。ライラやウィルと同行する二人もいいんですが、かれらの主君であるらしいローク卿もかっこよかったなあ。

 あと、死者の国へ行くシーンは、どうしても〈ゲド戦記〉の『さいはての島へ』を思いだしました。べつに真似ているといいたいわけではありません(そこは誤解のないように強調したいです)。
 ただ、ファンタジーにおいて、「冥府くだり」のモチーフは重要なのかもしれないなぁ、とぼんやり考えたという意味です。ぼんやりなのは、わたしが素でぼんやりさんだからですが……。
 あ、冥府のところはさすがに展開がゆっくりだったような。他の部分とくらべれば、ですけど。

 いやー、堪能しましたが、……疲れました。やっぱり一日一冊以下のペースがわたしには相応のようです。
神秘の短剣

著者名:フィリップ・プルマン(著)
大久保寛(訳)
出版社:新潮社
出版年:2004.02
ISBN :9784102024140
琥珀の望遠鏡

著者名:フィリップ・プルマン(著)
大久保寛(訳)
出版社:新潮社
出版年:2004.07
ISBN :9784102024157
琥珀の望遠鏡

著者名:フィリップ・プルマン(著)
大久保寛(訳)
出版社:新潮社
出版年:2004.07
ISBN :9784102024164

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posted by うさぎ屋 at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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