芝田さんは「語り手」だなぁ、と思うのです。文体というよりは「語り口」といった方が正しい表現のような気がするな、と読みながら思います。小さい人たちへ語りかける、というスタイルなんですよ。どこがどう、とはうまく説明できないのですが。
平安時代を舞台に、古典を下敷きにした物語なので、読者(児童文学ですから、想定される読者は子どもです)に説明せねばならないことが、たくさんあるのですよ。でも、それがみんな、するっと「〜なのです」「〜です」と入ってくる。ここが説明のタイミング、量はこれくらい、ここが話を進ませるところ、という勘所をどうやって掴むんでしょう? えー、どうやって? と、スミマセン、技巧的なところに興味をひっぱられたまま読んでしまったことを告白します。職業病ですかね、コレ……。
そんなわけで、平安京とか斎院とか香炉峰の雪とか出てくるんですけど、子どもでもちゃんと読めるつくりです。試しにうちの小学六年生に読ませてみたところ、本にかじりついてしまって声をかけても生返事、途中で本からひっぺがして風呂に叩きこみましたが、出てきたらすぐにつづきを読みはじめる勢いでした。
お話は、虫好きを見込まれた姫が、法隆寺のお坊様に、聖徳太子ゆかりの宝物にかかわるあるたのまれごとをして……というもの。虫好きのみならず、変装、潜入、と貴族の姫君らしからぬことを次々にしでかして、読者を楽しませてくれます。姫様みたいにストレートに生きられたら、と少し羨ましいかな。
まあわたしもたいがい適当に、都合よく生きてますけどね!
虫めずる姫の冒険
著者名:芝田勝茂(著)
小松良佳(画)
出版社:あかね書房
出版年:2007.10
ISBN :9784251044013
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