偶然にも妖精パック(『真夏の夜の夢』に出てくる、あのロビン・グッドフェロー)を揺り起こしてしまった兄妹が、パックの仲介でその土地に縁の深いいにしえの人々と出会い、土地の歴史を知る物語です。
最初の騎士の物語と、その次のローマ人の物語がよかったなぁ。
必要があればいくらでも残酷になれる、決断力と判断力と統率力をそなえた「カリスマ」の描きかたが、絶妙なんですよね。とくにどうこうと描写があるわけではないのに、ぞくりとするほどその人物の魅力が伝わってきます。どちらも主人公ではなく、登場するシーンはわずかなのに、おお、と思わせるのがすごい。
それと、土地への(国家としては、英国への)愛がすごくいい感じです。狂信的な愛国主義ではなく(そのへんは、巻末解説にも書かれていますが)、良いところはもちろん、欠点も含め、ただ心から愛しているのだという雰囲気が、わたしは好きです。
ローマ人については例によってラテン語のくだりがあるのですが、「v」がちゃんと「u」音で訳されていてよかったです。ラテン語をちょっとかじって以来、そればっかり気になって困ります。
プークが丘の妖精パック
著者名:キプリング(著)
金原瑞人(訳)
三辺律子(訳)
出版社:光文社
出版年:2007.01
ISBN :9784334751210
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