2007年11月01日

読了メモ:プークが丘の妖精パック

 ファンタジー系の本読みさんのあいだで評判がよかったので気になっていた、『ジャングル・ブック』で有名なキプリングの本邦初訳本。買おう買おうと思いながら見かけないまま数ヶ月、結局ネット書店で注文して積んであったものをようやく読みました。

 偶然にも妖精パック(『真夏の夜の夢』に出てくる、あのロビン・グッドフェロー)を揺り起こしてしまった兄妹が、パックの仲介でその土地に縁の深いいにしえの人々と出会い、土地の歴史を知る物語です。

 最初の騎士の物語と、その次のローマ人の物語がよかったなぁ。
 必要があればいくらでも残酷になれる、決断力と判断力と統率力をそなえた「カリスマ」の描きかたが、絶妙なんですよね。とくにどうこうと描写があるわけではないのに、ぞくりとするほどその人物の魅力が伝わってきます。どちらも主人公ではなく、登場するシーンはわずかなのに、おお、と思わせるのがすごい。

 それと、土地への(国家としては、英国への)愛がすごくいい感じです。狂信的な愛国主義ではなく(そのへんは、巻末解説にも書かれていますが)、良いところはもちろん、欠点も含め、ただ心から愛しているのだという雰囲気が、わたしは好きです。

 ローマ人については例によってラテン語のくだりがあるのですが、「v」がちゃんと「u」音で訳されていてよかったです。ラテン語をちょっとかじって以来、そればっかり気になって困ります。
プークが丘の妖精パック

著者名:キプリング(著)
金原瑞人(訳)
三辺律子(訳)
出版社:光文社
出版年:2007.01
ISBN :9784334751210

本家サイト感想文一覧 63870 ラドヤード・キプリング
posted by うさぎ屋 at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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