米軍の士官学校に出る幽霊を巡って、ふたりの教官がその正体をあばこうとする話。実話を元にしているとかで、著者自身がウェスト・ポイントに住み、教官もつとめた経験がある。そのせいか、細部がやたらリアルです。
怖さというより、この細部のリアルさを味わう小説かも。
著者の趣味なのでしょうが、やたらいろんなところから引用されているので、そのへんもおもしろいです。リーアム(教官のひとり)とマギー(もうひとりの教官の妻)がクトゥルー神話の話をはじめるシーンなんか、かなりおもしろかった。ちなみにマギーは大学で聖杯テキストの研究をしていた女性で、つまりアーサー王とかあのへんのモチーフもちょっと登場したりして、もう素晴らしい。
ただ、それだけに「あー、これわたし出典が理解できていないような」という場面に突き当たると、困ったなぁ感がただよいました。たぶんこのへんキリスト教のモチーフだよな、とか大雑把にしかわからない(しかもハズレているかもしれない)とか、なんだかもったいなくて。
解説によれば、これが著者唯一の小説で、ほかには "The Individuated Hobbit:Jung, Tolkien, and the Archetypes of Middle-Earth" という研究書を上梓しているとか。おおう。読んでみたいものです。
とにかく今は眠いのでこれにて。というか、プロット終わるまでもう小説読んじゃダメという禁止令が、わたしの中で発動しましたよ……。うっはー。一晩消えた〜。
ウェスト・ポイントの幽霊
著者名:ティモシーR.オニール(著)
井伊順彦(訳)
出版社:早川書房
出版年:2007.08
ISBN :9784150411480
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