日本という国が開国し、西洋文明と出会い、それに肩を並べていこうと無理をするなかで、まず狂気が社会的な「恥」とされ、おし隠されていったという流れ。司法と警察と精神病医師が結びついていく構図。
近代国家日本が成立していく過程で、精神病者というものが如何に認識され、扱われていったかの社会史、といえばいいのかな。おもしろかったです。
犯罪をおかした者が、精神的な問題で罰されないまま終わるというケースは、重大事件であれば社会の注目を浴びて皆が知り、また多くの人が苛立ちを感じたりするわけですが、それはイコール「精神病者は『社会』に属さない存在」として日本という国家から弾き出されていることのあらわれだ、というのはあまり意識したことがなかったです。
考えてみれば、あ、ナルホド、なのですが。
ただ、ちょっと精神科医に厳しいかなぁ……。昨今の事例にしても、病名をつけたがる、と評していますけれども、あれは精神科医の責任というよりは、すぐにラベルを貼りたがるメディア側と、無意識に「名前をつけてくれ」と願望する社会自体の責任でもあるのでは。
なんとなく、名前がつくと「わかった気になる」から、専門家がコメントを求められるわけですよね。
まあ、求められなくても語りたがる人たちもいるのは確実でしょうが、それをもって「精神科医」とひとくくりにされては、その職業についている人はたまらないと思います。
狂気と犯罪
著者名:芹沢一也(著)
出版社:講談社
出版年:2005.01
ISBN :9784062722988
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