とまあ、そんな家庭の事情はともかく、読了しました。
これは面白いですねぇ。著者はそうとうに中国の歴史に親しんで、自家薬籠中のものとされているようです。かなりのものだなと唸りながら読み終えてみたら、参考文献の版元が中華書局とか汲古書院とかですよ。さすがだ。
さて、その著者が舞台に選んだ時代は唐、それも玄宗皇帝がまだ即位して間もない頃。つまり名君だった時期です。後年、ダメ君に変貌を遂げ、そっちの方が有名かもしれないですね。
〈風の王国〉より後、と言えば拙ブログの常連さんには、わかりやすいかも。
主人公はニートです。マジでニート。父親は官僚を無難に勤め上げて隠居、その父が稼いだ財産を計算したら、なんだあくせく働かなくても適当に暮らしていけるじゃんと気がついて、だからなにもしないという、かなり計画性のあるニートです。このへんがちょっと普通じゃないです。
とにかく孔子の孟子のというまっとうな教えを学ぶ気がなさそうな息子を、不老長寿を求めて道術にかぶれはじめた父が、仙人のところへお遣いにやったのが事件の発端。その仙人は、ちょうカワイイ女の子で、なぜか主人公を気に入ったようで、……で、いろいろあって、主人公を引き連れて旅に出るというお話。
非常におもしろく、清々しく、かつ中世中国の歴史について多少の雑学も仕入れることができるという素敵な小説でした。難をいえば、ちょっと主人公に都合が良過ぎるかなぁ、というくらいかな。でも、そこまで含めてこの小説「らしさ」だと思います。
僕僕先生
著者名:仁木英之(著)
出版社:新潮社
出版年:2006.11
ISBN :9784103030515
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こういった話をきれいに終わらせるのは難しいとは思いますが、終盤の事件の解決がちょっとありふれているかなあ。
前半から中盤の超俗的なところはかなりいいなと思ったもので、よけいにそう感じたのでした。
あと、あっちに行くんじゃなくて、こっちに来る終わりかたの方が納得いったような。
最近ブレイクした森見登美彦もこの賞出身ですが、京都の大学生の妄想と日常を描いた『太陽の塔』って『僕僕先生』と全然違いますものね。
『太陽の塔』は高橋は好きな話ですが、うさぎ屋さん向きかというとちょっと疑問符ですが(笑)。
よけいなおせっかいですが、もし森見を読まれるなら、『太陽の塔』『四畳半神話大系』『きつねのはなし』『夜は短し歩けよ乙女』『〈新釈〉走れメロス 他四篇』と発行順に読むのが吉。作家的技量の向上とラブ度の増加が読み取れるので。
森見さんのお名前と作品名が合致しているのが『夜は短し歩けよ乙女』だけだったので、なんとなくそれが受賞作かと思いこんでいたら、全然違ってましたね。むはー。
わかりました、読むときはできるだけ順番に! 押忍!
グリーンゲイトの記事を読んで思い付きましたが、森見さんの話は、なんだかうさぎ屋さんのお姉さんのコミックのような唐突さがありますね。
わたしは先日、「これ絶対おもしろいから!」と、〈(株)魔法株式会社〉を姉に買わせたんですが、あれも姉っぽいかもと後で思いました。
一回「姉っぽいかも」と思いつくと、キャラが全部姉の絵柄で思い浮かぶのがおそろしいです。
ご参考までに。
そういえば、大森さんが「京大生の日常をそのまま描くと、よその地方の人からはファンタジーに見えてしまう」という名言を吐いていました。