エッセイ集、というとあまりに軽く響いてしまいそうで怖いのですが、いくつかの「言葉」をテーマにした論考を集めた一冊といった趣き。
それをいえば、前に読んだ『梁塵秘抄』も短い文章の寄せ集めではあるのですが、あれは『梁塵秘抄』だけを扱っていたから、また別かな? と思います。
だからといって読みごたえがないわけではなく、読んでいくうちに、いままで想像もしなかった景色が目の前にあらわれてくるというか、そんな感じの一冊です。やはりこの人はすごい。
特筆すべきは解説。編集者として西郷信綱氏に関わって云々と書かれており、編集のかた(本書の担当ではないようですが)の文章らしいのですが、「この人はそこに降り立っている」……これ、実にうまく「西郷信綱の魅力」を語り尽くしていると感じました。
その言葉自体は「仏文学者で批評家のある人p.206」の発言だそうなのですが、「降り立っている」というのが如何なる意味を包含するかを、きれいに説明しているのです。そうそう、そうなんだよね〜、とうなずきたくなります。いい解説です。
そしてまた、編集者が書き手にここまでの理解と愛情をそそげることも、すてきなことだな、と。思いました。
「龍澤武」というお名前でネット検索してみると、どうも平凡社の編集局長をつとめられたかたであるような? なるほど……さすが。
先日再読した宮城谷氏の『晏子』の解説は、当時の担当編集者なる人物が書いていて、作家と作品を理解しようとする編集者のひたむきさが感じられたことを思いだしました。小説本文からの引用とそうでないところの区別が明確でないのを、なんとかすべきなんじゃないかと愚考しますが……でも、編集者がきちんと作品を愛してくれるというのは、やっぱり、すてきなことだと思います。
日本の古代語を探る
著者名:西郷信綱(著)
出版社:集英社
出版年:2005.03
ISBN :9784087202847
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