ジュヴナイルというか、これは若い人向けに書いたものだろうなぁ、というのが伝わってきます。
だからといってバカにしたとかそういう意味ではなく……ただ、読者をそこに想定して書いたんだろうなと感じただけなのですけど。なんと言えばいいのかなあ。
ともかく、虚構が現実を侵蝕する話としてわたしは読みました。
ヒロインであるアートの記憶が偽りの二乗であること(失われていた記憶が戻ってみたらそれは……とかいう仕掛けのことですが)、そして、この世界自体が微妙に我々の知る現実からズレていることも含めて、よくできた枠物語だと感じます。
やっぱりタニス・リーだなぁと思わされる表現の細部も、楽しいです。
「朝が空の扉を開けた(p.166)」とか、「夜のかけらのように見える黒い船(p.195)」とか、ぱらぱらとページをめくっただけで、いいなぁと思う文章がみつかります。
オウムが口走る「ピース・オブ・エイト」は、わたしの知る『宝島』では「八銀貨」と訳されていたので、「ペソ銀貨」とルビがふってあると、不思議な感じ。
パイレーティカ女海賊アートの冒険 上巻
著者名:タニス・リー(著)
築地誠子(訳)
出版社:小学館
出版年:2007.05
ISBN :9784094520071
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