主人公は魔法探偵。いやほんとうに。王道と言っていいハードボイルド風設定をクリアして(不幸な生い立ち、なにやらとり返しがつかないくらい恐ろしそうな過去、年中すかんぴん、女には優しいのにあまり女運が良いとは言えない、なのに出会う女出会う女すべてイイ女、ボロ車に載ってる、仕事に不自由してる、などなど……)、しかし魔法使い。
銃器の代わりに魔法を使う探偵の弱味のひとつは、彼が近寄ると機械がすぐ不調を起こしてしまうこと。ボロ車がボロなのも、しょっちゅう故障しているからですし、彼に慣れている人など、彼をオフィスに入れる前に電子機器のコンセントをひっこ抜く勢いです。
そんな彼のもとに訪れた、ちょっと胡散臭い「失踪人探し」の依頼、馴染みの警部補に意見を求められた魔術による殺人、そして街の暗黒街を牛耳るマフィアのボスとの対決、さらには彼が魔法使いとしての道を踏みはずしていると決めつけている監視者による、白の評議会への告発……と、雪だるま式に厄介な事件が厄介さを増していく展開もまた、ハードボイルドの王道設定ながら、細部を構築しているのは魔法そのもの。
頭蓋骨に入った知識の精霊、パンやはちみつが大好きな妖精、絶大な力を誇る女吸血鬼などなどの超自然的存在もサービス心旺盛に登場して、満腹になれる一冊でした。
ちょっと不満なのは、モーガンがアホ過ぎるということですか……逐一主人公の行動を見張っているのだとしたら、どう考えても彼が犯人じゃないのはすぐわかると思うんだけど!
あと、主人公がなんでも自分で抱えこむのも、ちょっとどうかと思いましたが(それで事態がよけいややこしくなるので)、それもまたハードボイルドの王道的な展開なので、そこは文句をつけるところじゃなさそうな気も。
ドレスデン・ファイル
著者名:ジム・ブッチャー(著)
田辺千幸(訳)
出版社:早川書房
出版年:2007.06
ISBN :9784150204457

コレは面白そうですね! 激しくツボっぽいです。
どうも同じ素材でも恋愛より殺人に気がいってしまうようで……(^^;)
ドレスデン・ファイルは、もろハードボイルドでした。しまださんの、お気に召すかもしれないです。機会があったら、ご感想を教えてくださいませ〜。