2007年06月19日

読了メモ:大唐帝国

 先日の、『風の王国 波斯の姫君』の感想で、読みかけていると書いていた『大唐帝国』を、ようやく読み終えました。
 先に書いたように、扱っている範囲は唐のみではなく、三国鼎立から始まり、おおよそ唐代までつづいた「中国中世史」となります。ただし、中国史において「中世」をどこからどこまでと看做すかは、学派によって異説もあるとのことで(ちょうど知人にそういう話を教わったばかりだったので、ああ、このことかと思いました)、誤解を避けるために「大唐帝国」というタイトルを採用したとか。
 ……いやでも、これはこれで誤解を招くような。てっきり、分厚い文庫一冊みっちり唐代の話かと思いこんで買う人が、きっといると思うのですよ。

 ちなみに、いわゆる三国志的な範囲だけで、100ページくらいあります。
 唐代に突入するのは、319ページから。この間の200ページで、王朝がどっこどっこ興ったり滅びたりしています。たぶん、「三国志後」の展開に興味をもった人にとっても、かなり楽しめる本ではないかと思います。
 そして、唐代自体は100ページに満たない程度の記述になっているので、「やばい、〈風の王国〉のネタバレになるのでは?」は、杞憂でした。逆に、文成公主は一行でかたづけられちゃってツマンナイ! とか、それくらいです。

 宮崎市定氏の文章は、論旨も明快で捩れが少なく、かつまた表現も洒脱さが感じられ、わたしはかなり好きです。
 史観と、それを支える該博な智識が素晴らしいのはもちろんのこと、やはりそれを人に伝えるための文章が巧みであることは、読者にとっては嬉しいものです。
 ぱらりとページをめくっただけでも、たとえば「その活動は虎に翼が生じたごときものである(p.395)」とか。いい表現が随所に出てきます。

 中央公論新社(当時は「新社」じゃなかったと思いますが)から『世界の歴史 6』として出版されたものが、河出文庫から出し直された、……と考えてよいのでしょうか。初版のデータが文庫自体に記載されていないように思います。著者の「文庫版あとがき」に、初出は1968年と書かれているのですが……。でもこの中央公論新社版は、1961年初版というデータになってるんですよ。うーん。
世界の歴史 7

著者名:宮崎市定(著)
宮崎市定著
出版社:河出書房新社
出版年:1989.09
ISBN :9784309471662
posted by うさぎ屋 at 10:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 歴史
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