舞台となるのは文革の嵐吹き荒れる中国……の、おそろしく辺鄙な山村。「再教育」の名目で送り込まれた都会育ちの若者ふたりが、同じく「再教育』で近くの別の村に送りこまれていた若者が隠し持っていた禁書を発見し……という物語です。
文革という言葉は知っているし、ぼんやりと「なんだか大変だったらしい」的な知識はあるのですが、おそろしい時代だったんだなぁ、と。でもその恐ろしさを、著者はかなり軽妙な描写で躱しています。
まあ、本読み的には悪夢のような設定ですよね。
禁書ですよ、禁書。共産主義の本以外はぜんぶ禁書。
これ、メガネが隠し持っていたのがライトノベルだったら……(実際にはバルザックをはじめとするフランスの文豪たちの作品群だったのですが)と、読み終えてからふと思って、いろいろなパターンを考えてしまいました。
アニメ、ゲーム、マンガ、ライトノベルなどは人を馬鹿にするとして禁じられた世界でですね。娯楽に餓えた若者が、発見するんですよ。禁じられたライトノベルを、友人が隠し持っていることを。
友人から引き出せたのはたったの一冊。しかし、おそろしいことに、その一冊で主人公たちは「萌え」に開眼。
それを山村でいちばん美しいお針子に読み聞かせてあげると、彼女はとても山村には似合わないような服を縫い始めるのですね……コスプレ服か。うわあ。
……なに考えてんだろうねと思いはじめたので、終了。
しかし、メガネの鞄に詰まっているタイトルを考えるだけでも楽しそうですよ。
バルザックと小さな中国のお針子
著者名:ダイシージエ(著)
新島進(訳)
出版社:早川書房
出版年:2007.03
ISBN :9784151200403
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かなりシビアな物語なんですけど、それを読んで思いついたのがこんな妄想ってあたり、我ながらちょっとどうかと。