信じていないからこそ、その出来事を追求せねばならない。なぜ、なにが、どうして。
中身は期待に違わぬ、いや期待以上の出来でした。素晴らしい。
時代設定は、第一次大戦後、第二次大戦前。主人公は、その天才的な詐欺師、
もちろん、保護されるだけの側から一歩抜け出そうとし、成長するディエゴ少年もいいし、頼りになる相棒アントニーも、最高に味のあるキャラクターなのですが、やっぱりシェルがかっこいい! 伝説的な賭博師「魔術師」ジャックを父に持ち、みずからも父譲りのトリックと卓抜した洞察力、推理力、そして行動力を兼ね備えた――しかし、それを誇らない人物なんですよ〜。
作品自体も、昔のことを語りながら、今の社会にも通じるいろいろな問題を、さりげなく浮き上がらせて見ているように感じました。
押しつけがましくはなく、しかし、すべてがそこは提示されている。種も仕掛けもありませんよとカードを広げて見せる、優雅さがある。シェルが体現しているような、なんといえばいいのかなあ……「美学」? そういうものを、感じました。
イザベルの幽霊談もよかったなぁ。「これをお持ち」が、まさか直後にもう一回効いてくるとは。
ガラスのなかの少女
著者名:ジェフリー・フォード(著)
田中一江(訳)
出版社:早川書房
出版年:2007.02
ISBN :9784151768019
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19世紀末のニューヨークで「姿を見ずに肖像画を描いてほしい」という奇妙な依頼を受けた画家を描いたもの。世紀末の景色のなかで幻想と論理が調和しているかなりいい話でした。
前者は山尾悠子訳で話題になりましたっけ。
『シャルビューク夫人の肖像』はランダムハウス講談社なので、気長に待つ構えですが、まだ出てから一年たってませんからね〜……。遠いわ〜。