表題作の方は、誰とでもなんとなく寝てしまうという女性が主人公……なのだけど、冒頭からいきなりそういう展開かと思えば、そうはならず。彼女は躁鬱病で(躁も鬱も両方訪れているようだから、単相性の『うつ』ではないはず)、絵を描き、発症する前の貯金を切り崩しながら生きているという設定。
いろいろと考えさせられる、「いい小説」だけど、これはワタシのための特別な本だという感じはなく、やっぱり「ファンタジーという名前の俺様」のように珍妙な、あるいは超常的な存在が出てこないと駄目なのかな、それもそれで自分ってなんだか偏ってないか? 今さらか。と、ひとりで疑念を抱いたり納得したり。
同時収録の「第七障害」の方は、心地よい恋愛小説として読めた。女性キャラクターの感性がしっくりくるのは、著者が同年代のせいもあるのかな。ほっとする一作、とでもいえばいいのか……あまりこの言葉を使いたくないのだけど(なんとなく)、癒されるなぁ、と感じました。
イッツ・オンリー・トーク
著者名:絲山秋子(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2006.05
ISBN :4167714019
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