2006年09月22日

訃報:浅羽莢子氏

 SF作家クラブの名簿に、すでに物故者として載っているそうですので……言及してもいいのでしょう。
 知らされたのは、昨夜でした。動揺して、しばらく何も手につかなかったです。

 ほんつなのスーパー検索、著者名の欄に「浅羽莢子」と入れると、百冊以上がヒットします。

 海外ファンタジーのファンにはお馴染みの名前でしょう。タニス・リーの『闇の公子』、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『九年目の魔法』。ジョナサン・キャロルも、あの切れ味の良い文体が、その魅力の少なからぬ部分を占めていたと思います。
 ファンタジーのみならず、SFやミステリの翻訳も手がけておられました。ドロシー・セイヤーズや、アン・マキャフリイ。

 体言止めのセンスに憧れて、真似をしようと頑張ってみたことがありました。
 とても無理でした。
 比類のない文章を書かれるかただった、と思います。

 まだ、茫然としています。
『ダークホルムの闇の君』の解説を書いたときに、ご連絡すればよかったと……せめて編集さんに消息をお聞きすればよかったと思い、そんなことをしても意味はないのだと思い、相次いでキャロルの文庫が出たのもひょっとしてと思い、買ったのにまだ積んであるなんてと思い、いや読むのはいつでもできる、そんなことより本にして遺していってくださったことをこそ、ありがたいと感謝しろと思い……。

 とりとめもなく、いろいろなことを考えてしまって、止まらない状態です。
posted by うさぎ屋 at 22:07| Comment(6) | TrackBack(3) | 日記
この記事へのコメント
一読者のワタクシでも、検索してどんどんさかのぼっていくと、どれだけ恩恵を受けてきたのか数え切れなくて、呆然とします。
もう、いってしまわれたんですねえ。
……何と言ったらいいやら。ご冥福をお祈りします。
Posted by しのぶ at 2006年09月22日 23:25
 ほんとにね。今日、いや昨日も起きて最初に考えたことは、浅羽さんはもうこの世にいらっしゃらないんだ、ということでした。すごい喪失感です。

 直接お会いしたことが何回か……という程度の接点しかありませんけれども、覚えているのは、ものすごく負けず嫌いだからゲームは必ず勝って終わりにする、つまり勝たないと終わりにできないとおっしゃっていたこととか……はじめてお会いしたときはコンベンション会場のお手洗いで、今しかチャンスはないと(なぜか)思いこんで、ファンです! と話しかけたこととか……。

 でもやっぱりなによりも、訳文の見事さが印象深いです。ただのファンですよ、わたしだって……。
Posted by うさぎ屋 at 2006年09月23日 05:18
そうですか……今著作を見ていたところ、「火吹山の魔法使い」も浅羽さんだそうで、小学生の頃からお世話になっていたということがわかりました。
今読んでいる翻訳ものの日本語がなじまなくて苦しんでいるところなので、より一層残念です。
故人のご冥福をお祈りします。
Posted by おむらよしえ at 2006年09月23日 12:12
 もう「あ、浅羽さんのあたらしい訳書が」と本屋で思うこともなくなるんだなと、そういう贅沢が世界から消えちゃったんだと……しみじみ、素晴らしい仕事をしてくださったのだなぁ、と思い返しています。
Posted by うさぎ屋 at 2006年09月24日 01:47
昨日読み終わった本が、浅羽さん翻訳でした。
「毒の神託」ピーター・ディキンスンです。
これは「アラビア語」(しかも普通のアラビア語より堅苦しい言い回し)と、どことも接点のない文法的に特殊な「沼語」を、意訳して英語で書いた、というややこしい設定の文章です。
作者はこれがまた違う言語に翻訳されることは考えていなかったのではないかと、浅羽さんは訳者あと書きで書いています。
この翻訳はすごく難しい仕事だっただろうと思いました。素晴らしい人だったのに、悲しいです。
Posted by ときわ at 2006年09月24日 11:30
 まだ早い、早過ぎると思えてなりません。うまく言葉にならないのですが……すごい喪失感です。エルフたちを見送るような。
Posted by うさぎ屋 at 2006年09月24日 12:58
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Tracked: 2006-09-22 23:21

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Tracked: 2006-09-22 23:45

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