思ったからなんですね。あんまり読まれなくなっているんだなぁ、と。
いや、『ハリー・ポッター』とかたしかにブームなんでしょうけど、児童文学として出版されているものの一部が突出して売れているだけで、むしろ文庫翻訳の方は、昔より読まれなくなっているのかな、と思います。
最初に実感したのは去年のSF大会のときで、企画に来てくださったかたがたに
「ファーシーアの一族読んでる人〜」
「影のオンブリア読んでる人〜」
「デイルマーク読んでる人〜」
で、挙手を募ったところ、どれもお一人様(しかもずっと同じ人)だけだった。という体験をしたときでした。
ファンタジーの企画で、ですよ〜。なんでそうなるの〜(泣きくずれる)。
たまにウェブで感想文を探してみたりするのですが、とにかく数が少ないので、ひょっとして「買う」ところまではいっても「読む」ところまで行く人が少なく、さらにそこから感想文を書くなどして広めようとする人は絶望的に少ないのでは? と思いました。
じゃあまず自分が頑張れ、ってことなんですが。
えーと、ハイ。善処します。といいつつ、家族旅行の余波で疲れ果てていて、また長文感想文の更新が滞っていますが。
というわけで先月の読了本からプッシュなんですが、『ニューヨークの魔法使い』、これがアナタ。ネットで検索しても、ろくに感想文を見かけないのですよ。
楽しく読める、いい作品だと思うのになぁ。
物語は、魔法の力がこれっぽっちもないせいで、他人の魔法にすら影響されないヒロインが、テキサスの田舎からニューヨークに出てきた――という設定で始まります。出身地にコンプレックスを感じていることもあって、エルフを目撃しても
「まぁ、また『ロード・オブ・ザ・リング』のファンがコスプレしてるわ! なのに誰も目もくれないなんて、ニューヨークって、ほんとに変な街ね!」
と、彼女は思ってしまうのです――もちろん、エルフたちは目くらましの魔法で、自分たちがふつうの人間に混ざっても違和感ないようにしているのですが、彼女には効かないため、本来の姿が見えてしまっているわけ。
彼女が「見えちゃってる」ことに気がついた魔法使いやら妖精たちは、この貴重な資質の持ち主を味方につけようとヘッドハントに乗り出すわけですが、なにしろ舞台は現代ニューヨーク。コンタクトは電子メールです。それが〈ミス・キャスリーン・チャンドラーに、素晴らしいチャンス〉というタイトルなので、もちろん、ミス・キャスリーン・チャンドラーである主人公は「またスパムだわ」と魔法使いからのメールをゴミ箱にポイ。
翻訳ファンタジー(の、新しい作品)を、もっと読みましょうよ〜! と、いうお話でした。どっとはらい。

これ設定がツボっぽいんですが、児童文学風ですか……?
すみません、子供の頃から児童文学が苦手なもので……(^_^;)
ですます調だともうダメなんです……
著者の狙いは「働くお嬢さん世代」なので、児童文学ではないですよ〜。ですます文体でもありませんから、ご安心ください。
ところで「働くお嬢さん世代」へのファンタジーって珍しくないですか? その世代はファンタジー読まないと思われてるのかなあ……私のとこは割と多いんですけど……。
それなりに需要あるだろうと思うんですけどね。
ちなみに拙作の『チェンジリング』も、実は読者層としてそのへんを狙いつつ、エンターテインメントしようとしたのですが、できませんでした。根が暗いから、どうしようもないのかも……。ははは。と、笑ってごまかすしかないわけですが。
って考えてみると、共通項はけっこうあるんですけど(ほかの人には見えない妖精が見えたり、変な電子メールが届いたり。しかも、ヒロインがそれを気のせいだと思いたがったりするあたりまで!)、あくまで「こちら側の世界」だけですべておさめ、ちゃんとエンターテインメント作品として成立している『ニューヨークの魔法使い』の著者は、つくづく達者な人だと思います。
ファンタジーとしてみると軽めの内容なので、あまり濃くない人にも受け入れられやすいと思いますし、さりとて濃いファンにそっぽを向かれるほどヤワな内容でもないので、バランスのとりかたが絶妙かな、と。
「ファーシーア」読了しました〜。いやー、面白かったです。おすすめありがとうございました。
一般の人にはおすすめできないけど、濃ゆい物語が好き、特に人の感情とか、狼とか(笑)好きな人におすすめできそうですね。
久しぶりにどっぷりできました。(^_^)
続刊も翻訳されるようなので、楽しみです〜。もっと広まってほしいなぁ。