2006年07月10日

読了メモ:管仲(下)

 ああ、おもしろかった! いつものように古代中国を舞台にした歴史小説。今回はタイトルが人名なので、誰を扱っているかわかりやすいですね。

 おもしろいのはいつもと同様なのですが、今回は、ちょっと考えこんでしまいました。
 先日読了したばかりの司馬遼太郎作品には、「作者の見解が前面に出てき過ぎてちょっと興が削げる」というような感想を抱いたにもかかわらず。
 同じように「当時は実はこれこれこうだから、このあたりの内実はこれこれこう」と書かれても、なぜか宮城谷作品では、物語世界の外にはじき出された感が少ないのが不思議です。

 まったくない、とは申しません。やはりたまに「あー、こんなの流してほしいのに」と思います。事実としての妥当性とか、史料の比較検討とかいった「作業をしている小説家」の存在を意識させられる文章があるせいで、わたしという読者から、物語が遠ざかってしまうことがあるのは、否定できません。

 それでもやはり、わりと気にせず読めるのは、なんでかなぁ……とすごく不思議に感じたのですが(とくにこの『管仲』の下巻は、これはないだろうと思うくらい現代の視点からダーッと書かれている箇所があり、そこでひっかからない方がおかしいと思うのです。なのに、なぜか大丈夫)、……よくわかりません。

 気になるので考えつづけてるんですけど、やはりわからない。うぬぬ。
管仲 下
著者名:宮城谷昌光(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2006.07
ISBN :4167259184

 あとがきに、冒頭さえ書ければあとはもう最後まで書ける……という著者の言葉があって、かなり羨ましいです。わたしは、冒頭が書けてもダメなんですよー。最後が見えないと。
 冒頭もたまに「見える」ことがあるんですけど、きっちり見えて、ちゃんと書けても、それが最後まで持続しないこともあるので、冒頭だけでは信用できないのです。修行の違いでしょうか。
posted by うさぎ屋 at 20:28| Comment(0) | TrackBack(1) | 小説
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※半角英数字のみのコメントは書き込みができないようになっています。

この記事へのTrackBack URL

※半角英数字のみのトラックバックは受信されないようになっています。

07/10 管仲(下)
Excerpt: 斉の君主が崩じた。管仲と鮑叔は、それぞれが奉じる公子のために対立することに…?
Weblog: ■うさぎ屋本舗|Yufuko Senowo Web Site
Tracked: 2006-07-23 00:46