で、朝わたしが起きてみたら、我が子が真剣に本を読んでいます。そういえば昨晩も、寝る前に
「図書の本(学校の図書室で借りた本のこと)、読みながら寝よう」
といって、本来彼の就寝時間であるべき22時よりずいぶん遅くまで起きていたようでした。
ぎりぎりまで読んで寝て、起きてまたすぐ読みはじめたようです。しかも読み終えたのは10時頃で、それからおもむろに朝のパンを食べ始めました……食べてなかったのか! と、気がついてないあたりもダメっ母ぶり大発揮なのですが、まあそれはともかく。
感動した、といいながらさかんにまとわりついてくるので、ひょっとして読んでほしいの? と訊いたら、当たりでした。受け取ったあとも、いつ読みはじめるのかと盛んに尋ねるのです。これは読むまでおさまらんなぁ、と、諦めてページを開きました。
子どもに読めと勧めることもあるんだし、逆も受け入れなきゃね。どうかおもしろい本でありますように、と祈りつつ。
で、読了。これ傑作ですね。すばらしい。
実は自然保護の話なんですけど、ひとこともそういう言葉が出てこないから、気づかずに読んでしまう子どももたくさんいるでしょう。
でも、これは生き物の保護を訴え、乱獲を戒める物語であるという読みかたもできるのは、たしかです。そのために、文字通り人生を賭けた人の暮らしが、控えめに描かれています。
子どもの視点で描かれる、さりげない大人たちの言動も、実に効果的にそれぞれのキャラクターを浮き上がらせていて、背景となる島のつつましい暮らし、自然、そして時代に輪郭を滲ませつつ、滞ることなく流れていきます。
みなさんにおすすめしたい本だと思いましたが、残念ながら、版元倒産のため、現在は流通していないようです。
子どもと学校の図書室に感謝、の巻でした。
イッカククジラがきた浜辺 著者名:マイクル・モーパーゴ
沢登君恵
出版社:ぬぷん児童図書出版
出版年:1988.12
ISBN :4889751394
蛇足ながら。
たまに、ネット上で、学校で「図書の時間」「読書の時間」などを設定し、子どもに読書をうながすプログラムを、読書の無理強いだと嫌がっている人をみかけます。
でも、テレビやゲーム、あるいは映画のDVDといったものが溢れている昨今、子どもが自分だけの力で「本」という愉しみに辿り着き、みずからの想像力を駆使して世界に入りこむ喜びを知ることは、とても困難だと思います。
そういう環境を変える一歩としては、とても有効な方策なのではないでしょうか。
我が家のように、家中に本があふれていても――それも少年マンガや少年向けライトノベルが充実しているラインナップであっても――子どもはまずゲームに走りますし、テレビがついていればそれを見ます。
親が「たまには本を読めば?」とうながしても、とても嫌そうにしか相手をしてくれません。
学校は、家庭とはことなる「環境」です。テレビも、ゲームも、そこにはありません。
ゲームができるかもしれない時間に本を読まされる……のではなく、勉強させられるかもしれない時間に、本を読んでもいいよといわれるのです。むしろ、少なからぬ子どもたちにとって、歓迎すべき時間なのではないでしょうか。
図書の時間、読書の時間は、ただの押しつけ教育ではなく、それがきっかけで本嫌いになるというようなものではありません――もちろん、指導法によっては、そうなってしまう危険性もあることは否めませんが。
でも、一概に「押しつけだ」「よくない」、という評価をくだすのは、どうかなぁと思います。
我が家の小さい家族を眺めていての、実感です。
