2006年03月28日

読了メモ:レストア

 オルゴール修復師を主人公に、彼のもとに持ち込まれる「いわくのある」オルゴールたちと、それをめぐる人間関係を描くミステリ。太田さんの書くものの例に漏れず、主人公が真面目かつ誠実、責任感がある……ので、息苦しい部分もあるのですが、その苦しさまで含めて太田作品。静かな緊張感と、高いクオリティで、読ませます。
 いやー、最後は泣きましたよ。暗い部屋で泣きながら鼻をかんでいたら、トイレに起きだした家族にでくわして「わっ」といわれました。……そんな幽霊に出会ったような反応しなくても。

 太田さんには、『維納音匣の謎』という作品もあって、たしかわたしが太田さんとお会いして間もないころに、書いてらしたんですよ。資料を調べるだけでも大変だとか、調べているうちにオルゴールに入れこんでしまい、展示会で買ってしまったとかおっしゃっていた記憶がありますが、そのときからですから(リンク先のデータは文庫ですが、最初は新書で刊行されたはず)、付け焼き刃の知識でも思い入れでもなく、深いものがあるんですよね。それが物語をしっかり支えているように感じます。

 作中に登場するオルゴールがとてつもなく魅力的に感じられるのは、だからなんじゃないかな、とも思います。読むと、オルゴールが欲しくなる本です。家族に遺したくなるようなものが。
レストア
著者名:太田忠司
出版社:光文社
出版年:2006.03
ISBN :4334076300
posted by うさぎ屋 at 02:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※半角英数字のみのコメントは書き込みができないようになっています。

この記事へのTrackBack URL

※半角英数字のみのトラックバックは受信されないようになっています。