軽妙洒脱、中世騎士物語のパロディであり、思索の書であり、不安と解放感を抱かせてくれます。白銀の鎧に包まれた非の打ち所もなければ実体もない騎士のアジルールフォは、偉大な皇帝シャルルマーニュの臣下で、宴席を囲む仲間にオルランドがいたり、スコットランドの森の中には聖杯騎士団がいたり。
なんだかモンティ・パイソンのスケッチのようでもあります。パイソンズは、絶対カルヴィーノ読んでるだろうなぁ、と思いました。中盤をこえてからの修道女の筆運びなんて、テリー・ギリアムのアニメーションで再現したら、さぞおもしろいだろうと。
むしろ、テリー・ギリアムに全篇映像化してほしいです。きっと、おっそろしく予算がかかるんでしょうけど。
多少、中世騎士物語系の基礎知識がある方が楽しめるんじゃないかと思います。わたしもオルランドはちゃんと読んだことがないので(実は大枚はたいて買ったので、本を持ってるだけは持ってるんですけどね……)、知ってる人だけ笑えるところもあるんじゃないかな、と思いますが。
カルヴィーノ著書感想文一覧
不在の騎士 著者名:イタロ・カルヴィーノ
米川良夫
出版社:河出書房新社
出版年:2005.12
ISBN :4309462618

最初リアルな描写の小説を書いていたカルヴィーノがこの三部作から形容しがたい小説を書き出したわけで、なんともありがたい話ではあります(笑)。
『まっぷたつの子爵』(晶文社)もロングセラーなのでどうでしょう。
うーむ。出版社が多岐にわたるとめんどうですね。