2008年11月30日

読了メモ:まいなす

 献本御礼記事を書いたとき、ぱらぱら中を見たら主人公が中学生だったので、子どもに渡してみました。するとすごい勢いで読みふけった挙げ句、おもしろいからママも読んでといわれましたので、素直に読むことにしました。

 いやー、これはうまい! 太田さん流石だなぁ、と唸らされる出来です。
 真面目で頑張りやの女の子が主人公なんですけど、そういうキャラクターが好きならたぶんハマります。
 かなりグッとくるシーンがいくつかあるのはもちろんなんですが、人ってなんてイヤな生き物なんだろうって思わされる、ムカムカする場面もちゃんとあるのがいいんです。ああ、実際にこういうことあるよな、ってすごく思えるから。お話が、ただの紙に書かれた文字の羅列じゃなくて、その中の世界が生きてるんだって感じられるのが、好きです。

 自分が中学生だったときどんなことを考えていたか、どれくらい不安定で、すぐに気分が変わったか、なんてことまでつらつらと連想してしまいました。
 わたしは、この物語の主人公の舞ちゃんほどしっかりした子ではなかったです。人にたよられたりとかも、あんまりなかったかな。たよられるのは、今の方がたよられます。年齢相応にということでしょうかねー。
まいなす

著者名:太田忠司(著)
出版社:理論社
出版年:2008.11
ISBN :9784652086292

本家サイト感想文一覧 63870 太田忠司
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献本御礼:むらさきいろの童話集

 いつもいつもいつもありがとうございます! 東京創元社さまより、『むらさきいろの童話集』をお送りいただきました。
 帯によりますと、今回は「けものを従えた三人の王子」「あかつきの妖精」「リュートひき」「たまごから生まれた王女」など20編が収録されているそうです。

 こういうタイトルを眺めていると、「このタイトルからなにか書くことはできないか」とぼんやり思ったりするんですが、そんなこと考えてる暇があったら依頼されている仕事をこなせ、って感じなのでした。
 ううう。

「王子」「妖精」「リュート」「王女」といったタームが、わたしの中のなにかを刺激するのでしょうね。
 原点に近い部分というか……童話、とくに作者の知れている創作童話ではない昔話に近いものほど、なにかを刺激されるような気がします。

 なにかって、なんだろうなぁ。

 まあとにかく、ファンタジーを書きたいと思う人は、神話、伝説、昔話といったあたりを広く読んでおくとよいと思うのです。
むらさきいろの童話集

著者名:アンドルー・ラング(編集)
出版社:東京創元社
出版年:2008.11
ISBN :9784488018627
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2008年11月29日

Landreaall 13

 ほんとは木曜に読んだような気がしますが、すっごい疲れていたので遅れました。ランドリオールです。ネタバレ食らいたくなかったのでふだんの巡回まで休んだほどわくわくして読みました。

 期待をまったく裏切らない、いや期待以上の素晴らしい出来でした!
 DXの破天荒さがこのシリーズの魅力かと思ってましたけど、違うんですねぇ。みんな魅力的なんだ。
 何度読んでもフィルが帰ってった後の学生たちの会話がすごいと思います。忘れがちな、いかに彼がイレギュラーな存在であるかということを、ほんのひとことで思いださせて、それがきちんと有機的に次のエピソードに繋がっていく。
 いやもう素晴らしい。

 続刊も楽しみです〜。
Landreaall 13

著者名:おがきちか(著)
出版社:一迅社
出版年:2008.11
ISBN :9784758053754


 日記。今日は友だちとか友だちの友だちとかが集まってモンハンオフでした。いいトシの大人が十人(+うちの息子、ですが彼は中学生なので大人とはカウントしない)集まって何時間も一心不乱にモンハンです。
 なにやってんの! って感じですが、すっごい楽しかったです。
 みんなで遊ぶのって楽しいなぁ、と当たり前かつ子どものような感想。

 新宿に行ったついでに紀伊国屋書店あたりを偵察してくるかと思っていたのに、遊ぶのに夢中過ぎて、完全にスルーして帰ってきちゃいました! ううう。
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2008年11月27日

翼の帰る処(下)

 上巻に引き続き、感想コメント&トラックバック用エントリーです。

 サイトをお持ちのかたはコメント欄へのリンクの書き込み、お持ちでないかたは直接コメント欄で、ご感想をお寄せください。
 ブログをお持ちのかたは、トラックバックしていただくのが簡単かと思います。その際、いつものように「このエントリーへのリンク必須」という条件にはしません。ただし、感想を含まないものはスパムと判断し、トラックバックを反映させません。トラックバックは承認制ですので、反映されるまでに時間がかかることを、ご承知おきください。

[2008-12-14追記]
「トラックバックが反映されない」現象が複数回発生しております。
 現在、トラックバックは承認制をとらず、即時反映に設定を変更してあります。トラックバックを送信してくださったのに反映されない場合は、コメント欄に「ここに感想を書きました」とトラックバック元のURLを書いてくださると嬉しいです。
 お手数をおかけしますが、よろしくお願いします。


 ……というわけで、条件は前回と同じです。
 上下巻あわせてお読みになってのご感想である場合は、下巻の記事の方にコメント&トラックバックしていただければと思います。
 お気軽にご参加ください。
翼の帰る処 下

著者名:妹尾ゆふ子(著)
出版社:幻冬舎コミックス
出版年:2008.11
ISBN :9784344814936


 以下日記。
 今日は続編のプロットの打ち合わせでした。編集さんからOKが出たので、あとは書くだけですが、……今度はどれくらいかかるんだろう。今から怖いです。

 打ち合わせの後、編集さんとふたりでその近辺の書店さんを何軒か、うろうろしてみました。幻狼ファンタジアノベルスをずらりと置いてくださっている書店さん、置いてはあるけどラインナップがなんだか謎の書店さん、置いてないよな書店さん、既刊はあるけど新刊がないなと思ったらレジの後ろに積んであってこれから並べるところですか頑張ってくださいな書店さん、いろいろでした〜。

 どうか、読みたいと思ってくださったみなさまのお手元に、きちんと届きますように!
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2008年11月26日

ジャイアント・キリング 8

 いつの間にか出ていたのを家族が気づいて買ってくれました、『GIANT KILLING』現時点での最新刊です。先日電車に乗ったとき、横に立っていた女性がこれを読んでいて、あれー、『GIANT KILLING』の8巻って持ってたかな、しかし知らない人に「それ新刊ですか」って訊くわけにもいかないしな、しかもいま家に帰るところでこの先はもう家まで本屋ないしな! とか、いろいろ考えたのですが、その後、新刊かどうか調べるのを忘れていました。
 自動的に本が増える家に住んでいてよかったです。いや、家のせいじゃないけど。住んでる人のせいですけど。

 試合はまだつづいています。前半戦は終わり、後半でいよいよ監督の仕掛けが動く……のか? ってところです。しかし、具体的にどういう仕掛けなのかはサッパリで、「さんざん練習したし」とか、そういう曖昧なコメントしかありません。く〜!
 早くつづきを読みたいであります。おもしろいよぅ。
GIANT KILLING 8

著者名:ツジトモ(画)
綱本将也(原著)
出版社:講談社
出版年:2008.11
ISBN :9784063727531


 以下日記。
 下巻の見本が届きました。もう帯が煽り過ぎってくらい煽っていてびっくりです。編集さん頑張った! と思います。帯大賞があったらぜひノミネートしていただきたいくらいです。
 まあ……中身がその帯に見合うかというと……ははは。すみません、どうもこう淡々とした話しか書けなくて困ります。明日は打ち合わせです。まだプロットできてません。

(声にならない悲鳴を読みとってください)

 頑張ります。そして帰りにランドリオール買ってきます。ネタバレ踏むと怖いので今日は読書ブログは巡回しないヨ! なんだか自分以外の人がみんなもう読んでて詳しく感想書いていそうな気がするのです。やや被害妄想気味です。
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2008年11月25日

ソウルイーター 9

『ONE OUTS』を買おうとしたら置いていなかったので買ってきました、『SOUL EATER』です。ちょうどアニメ放映中のあたりにシンクロしています。

 どうしてもアニメの感想になってしまうのですが、原作通りなのに原作以上というか、ものすごくうまくふくらませていて、戦闘シーンの迫力なども動画ならでは! という感じ。
 毎回すごく楽しみに見ています。
 しかしストーリーの方はこの先どうなっていくんでしょうか。さっぱりわかりません。わたしは先読みができない読者なので……まあ、その方が無心に読めて楽しいですけどね。
ソウルイーター 9

著者名:大久保篤(著)
出版社:スクウェア・エニックス
出版年:2007.05
ISBN :9784757520158

 以下日記。

 今週中には下巻が出るというのに、まだまだコメントとトラックバックをいただいております、『翼の帰る処(上)』でございます。
 トラックバックを送ってくださった【Reading Diary - MEMO】のゆめのみなとさん、【Sud】の花村のどかさん、ありがとうございます。楽しく読んでいただけたようで、ほっとしました。
 下巻もお気に召しますように!
posted by うさぎ屋 at 22:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画

2008年11月22日

献本御礼:龍の七部族 1〜2

 ひかわ玲子さんより、お送りいただきました。いつもありがとうございます!
 以前、ソノラマ文庫から刊行されていたシリーズを、加筆修正しての再刊……ということだそうですが、それにしても、ひかわさんの刊行ペースたるや! 速い! 速いぞ! って感じです。

 表四など眺めて設定を拝見すると、わたしにはできない発想で。
 主要な交通や戦闘手段に龍を使う〈龍の七部族〉は、〈天上人〉と呼ばれる宇宙人の支配と干渉を嫌って、壮大な〈万里堰〉を築き、〈天上人〉の支配下に入った狄軍と千年にわたって戦いを繰り広げてきた。(以下略)

 く〜、かっこいい! とは思うんですけど、自分の中からこういう発想は出てこないんですよね。
 たぶん、ひかわさんは、わたしとは違う地平に立ってファンタジーを書いておられるんだなーと思うのです。きっと、すごく違うものが見えてるんだろうなと。

 わたし自身はあまり見通しのよい場所に立ってファンタジーを書いているというイメージがないのですが(水の中に潜るとか、地面をほじくり返すとか、そういうイメージをともなうのです、わたしにとって物語を書くという作業は)、ひかわさんはすごく高くて見通しが良い場所に足場を持っていらっしゃるんじゃないかなぁ、と。そう感じます。

 個人的な直感の説明って難しいというか、ぜんぜん説明になっていませんが、まあそのように感じております。
龍の七部族 1

著者名:ひかわ玲子(著)
出版社:朝日新聞出版
出版年:2008.10
ISBN :9784022739025
龍の七部族 2

著者名:ひかわ玲子(著)
出版社:朝日新聞出版
出版年:2008.11
ISBN :9784022739049

 以下日記。

 林さんになにかいわれてしまいましたが……。あっ、拙作をお読みいただきありがとうございました。お気に召したようで、よかったです。
 それはともかく。
 実をいうと、わたしも『迷宮街クロニクル 1 生還まで何マイル?』のあとがきを拝読したときに、
「うっわ、かぶった!」
 と思いました。相談して同じような内容を書いたわけではありませんし、このようになさればよろしかろうと教え諭したりなどもしておりません。

 つまり、師匠と呼ばれるようなことはなにもしておりませんので、せめて「先輩」くらいで堪忍してやってください。でないと中巻が遅れたときに、師匠とやらが変なサボり癖をつけたに違いない、あいつのせいだと叱られてしまいます。
 怖いよぅ。

 かぶったのはリンク先に引用されたあとがきですが、もしまだ本編をお読みでないかたは、是非どうぞ。おもしろいですよ。各所で絶賛の嵐です。当ブログでの感想は11月18日に。

 余談ですが、『生還まで何マイル?』の元ネタであろうと思われる、マザー・グースの歌……ちょっと検索してみたところでは、「バビロンまで何マイル?」という歌い出しの問いに対する回答の「70マイル」とは人生をあらわしているとか。足が速ければ行って帰ってこられるさ、とつづくのは非常に意味深です。
 バビロンとは、キリスト教的には「栄華をきわめた果てに思い上がって建てたバベルの塔」と強く結びついた言葉なのでしょうね。現世的な成功と破滅が表裏一体。冒涜的であるのに、同時に魅力的。それが、バビロンという言葉にまつわるイメージなのかな、と。
 複雑怪奇な魅力をもつ京都の迷宮からだって、必要なだけ足が速ければ戻って来られるでしょうね、生きて……。
 2巻のサブタイトルはどうなるんでしょう。

 マザー・グースって妙に頑張って解釈し過ぎじゃないの、そんなに深読みしなくてもいいじゃない、とたまに思いますが、でも楽しそうなのでもっとやれ、とも思います。
 どっちだ>自分
 バビロンについては『バビロン』、『バビロニア われらの文明の始まり』、『バベルの謎』あたりが参考になると思います。このへんの本を読んだからといって『迷宮街クロニクル』の理解が深まるわけではないでしょうが、まぁ一応。
 ライトノベルだったらこれが思い浮かびますが。そういえばこのシリーズも新刊にぜんぜん追いつけなくなりました。本は家にあるのですが、どこかに埋もれています。どこだろう……。
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2008年11月21日

魔法先生ネギま! 24

 ネギま! ……どういう話になってるんだっけ、と毎回ぼんやり困ってしまったりもするのですが、大雑把には把握しています。大丈夫です。……たぶん。
 でもネギくんが闇魔法を選んだかどうか忘れてましたよ。ほんとに大丈夫なのか、わたし!?

 とりあえず、着々と生徒さんたちは合流中。昔の因縁なども、少々明かされちゃったりします。
 そして最後はまた「つづくッ!」って感じなのです……毎度のことですが、もをぉおおをぉぉぉおお!! これからどうなるのさ! というわけで、次を待ちます。待つしかないのです。
魔法先生ネギま! 24

著者名:赤松健(著)
出版社:講談社
出版年:2008.11
ISBN :9784063840612
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2008年11月20日

かんなぎ 1

 アニメが評判になっているようなので名前だけは知っていましたが、なぜか一巻が我が家にあるとは思いませんでした。ありました。
 自動的に本が増える家に住んでおります。……こわっ!

 それはともかく、主人公は美術系の男子。昔の思い出をイメージして木彫りの像をつくったところ、素材が素材だった&よくできていた&彼が「見える人」だったというような原因から、神様がその像を依り代に姿をあらわし、動きだしてしまった! と、いう設定です。
 神様は若い女の子の姿で、ちょっと電波で(神様ですからね)、図々しくて(神様だし)、かわいいです(やっぱり神様だからね)。
 居候されて主人公は困ってしまうのですが、だからなに? って感じでお話は進んでいきます。冷静に考えるといろいろシビアな状況なのですが、誰も先のことは考えておらず、その場のノリだけで過ごしているのてはなかろうか、と思ってしまう。そんな漫画ですが、わりと嫌いではないです。家がこんなに本だらけでなければ、自分で二巻を買ってきたかもしれないです。
かんなぎ 1

著者名:武梨えり(著)
出版社:一迅社
出版年:2006.09
ISBN :9784758060158
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2008年11月19日

読了メモ:ムハンマド

 夏に読んだ『イスラームの世界』がおもしろかったので、同じ著者による別の本も購入してみました。

 こちらは、よりムハンマドというひとりの預言者に焦点をあてて書かれた一冊です。
 やはり読みやすくおもしろいですが、ほんとうにムハンマドとその時代がメインなので、どちらか一冊しか読む時間がないという場合は『イスラームの世界』の方が入門者にはよいのではないかな、と。
 でも、かなりおもしろかったです。

 ことに、異文化を理解するにあたっての姿勢について説かれている部分は、非常に得心がいくもので、わたしはこういう姿勢が好きだな、と思いました。
 異質な価値観、とうてい現実とは思われないことを現実として生きている人たちを理解し、かれらの立ち位置からかれらの文化を眺めるよう努力すること。
 その説明を読みながら、いつぞや感心した西郷信綱氏に関する評、「この人はそこに降り立っている」という言葉を想起せずにはいられませんでした。

 わたしも小説を書くときは、その場に降り立って書きたい、あるいはもうひとつ前段階からいうと、降り立たねばならない地平をしっかり創りたい、といったことも、ぼんやり考えながら読んでいました。

 本編とは関係ありませんが、前掲書のあとがきでは、ご夫妻でイスラームについて話ができるという微笑ましいというか、なんとなく心があたたまることが書かれていたのです。専門の、好きな分野について語り合えるパートナーがいるっていいなぁ、と羨ましく思っていました(ウチは専門が全然違うので。わたし文系、夫は理系です)。
 ところが、本書のあとがきによれば、そのご夫人ががんで逝去されたとのこと。また奥様の話が出るかなとは思っていたのですが、こういう形でとは思わず……。
 本書も、当初は奥様と共作でと構想なさっていたとのことで、まったく存じ上げないかたのことながら、しんみりとした気分になってしまいました。
ムハンマド

著者名:小杉泰(著)
出版社:山川出版社
出版年:2002.05
ISBN :9784634490109
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2008年11月18日

読了メモ:迷宮街クロニクル

 最初に自慢しておくと、この本はご本人からのいただきもので、最初にすんげぇかっこいいサインがついてますヨ! えへへ。

 というのはともかく、元はウェブ小説でおもしろさは折り紙付きの、あの小説が帰ってきました! 文庫になって!
 かなりの加筆訂正があり、とくに導入部は元の作品とは違います。
 読み返すたびに思うのですが(ウェブ版→同人誌→漫画版→今回、と読み返しているので、最近のわたしにしてはすごい再読率の高い本です)、思ったほど戦闘シーンが多くないんですよね。そして思いのほか、訓練シーンが多い。
 お気軽に常人離れした能力を発揮してヒーローになれる話ではなく、しかもかなり理屈っぽい描写が多いので、とっつきが悪いなと感じる人もいるかもしれませんが、いやまぁ騙されたと思って最後まで読みましょう。最後というのはもちろん三巻予定の三巻最後まで、です。

 読みながらふと思ったんですが、わたしが編集者だったら、これ、もう一回林さんにダイスを振らせて(正確には JavaScript を走らせて、ですか?)書き直してみてもらいたいなぁ。
 誰がどの時点で死ぬという運命でも、林さんならおもしろい読み物にしてくれるだろうし、昔からの読者にも「うわっ、またあの『生き残りゲーム』的なドキドキが戻ってくるのから」って付加価値がつくし、けっこうおもしろい試みじゃないかと思うんですけどね。
 まあ冒険は冒険ですが、新人なんだから冒険してもいいじゃない、と。
生還まで何マイル?

著者名:林亮介(著)
出版社:ソフトバンククリエイティブ
出版年:2008.11
ISBN :9784797350623

本家サイト感想文一覧 63870 林亮介

 以下日記。
 登場人物一覧がどんどん長くなっていきます。もう自分で覚えきれません。覚えきれないからリスト作ってるわけですが、誰某の母親が誰で一族がどことか、もうほんとにね……。
 来週打ち合わせなので、頑張ります。たぶん。なにを? たぶんプロットとか?

 求む!『翼の帰る処(上)』の感想文トラックバック! の企画に、またまたトラックバックをいただきました。【「ブックラヴァーズ」のススメ!】の威塚彼方さんからです。拙作をお読みいただき、ありがとうございます。
 下巻発行まで、あと十日くらいでしょうか。下巻も楽しんでいただければよいなぁ、と思います。
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2008年11月16日

読了メモ:星の宿る湖〈風の王国〉

 積んでおくとどんどん地層の下に埋もれていってしまうので、あわてて読みました。今がチャンス。というか、今を逃すとまた読めなくなる!

 ハードな歴史ロマン、〈風の王国〉シリーズの現時点での最新刊。
 もはやコバルトという感じは全然しません。はじめから読んでいる少女読者で、歴史小説のおもしろみを感じる素養というか受容体というかがある人は、きっと読みつづけてくれると思いますが。
 今回、久々になつかしい人の名前が出てきて、ちょっと嬉しかったです。
 それにしても、翠蘭は休む暇もないですね。高貴な人というのは大変だ……。彼女の努力が報われてほしいです。少しでも。
風の王国星の宿る湖

著者名:毛利志生子(著)
出版社:集英社
出版年:2008.10
ISBN :9784086012157

本家サイト感想文一覧 63870 毛利志生子

 以下日記。年表書いてます。今頃ですか? 今頃です。すみません。ある程度の決まりは頭の中にあったのですが、そろそろ脳内年表では対応しきれなくなりました。相変わらず
「あっ、計算間違いした……直さなきゃ……って、直してから気がついたけど間違ってなかった! つまり直したどころからおかしくなった! 戻さなきゃ!」
 とかやってます。アホちゃいますか、わたし。

 またまた感想文用エントリーに、【狭間の広場】の火狩さんからトラックバックを、おむらよしえさんからコメントをいただきました。ありがとうございます!

 そうこうするうちに、下巻の刊行まで半月を切ってしまいました。下巻も楽しんでいただけますように!
posted by うさぎ屋 at 22:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 小説

2008年11月14日

献本御礼:迷宮街クロニクル 1

 林亮介さんからいただきました。ありがとうございます。
 これの中身は基本的には昔のアレなのですが、かなり手直しなさったとのことなので、大事に読ませていただこうと思います。

 ちらちらと中を見ただけで、ああ、また迷宮街に戻って来たんだな、と感じられるのがなつかしいですね。
 多くの読者が再訪することを、そしてより多くの読者があらたに迷宮街を訪れることを祈ります――だから二巻と三巻もきちんと刊行されますように!
生還まで何マイル?

著者名:林亮介(著)
出版社:ソフトバンククリエイティブ
出版年:2008.11
ISBN :9784797350623

本家サイト感想文一覧 63870 林亮介
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2008年11月13日

献本御礼

 太田忠司さんからいただきました。いつもありがとうございます!
 帯の紹介はこんな感じ。
「未来を見た」という少年。
その恐ろしい予言には、秘密が…

タイムマシンを使わずに、
マイナスな過去をプラスに変える方法、知ってますか?

 どんな話なんだろう……。と、見返しを見てみました。おっ、もう少し説明があったぞ!

 ヒロインは「那須舞」という名前の女の子で、英語読みすると名前が「マイ・ナス」になるのが弱点という設定。
 ああ、そういえば現実に子どもの名前をつけるときに、英語読みでどうなるかまでは考えませんでした! 幸い、ごくふつうに「日本人の名前を英語読みしました」という音の並びにしかなっていませんが。名付けって難しいな……。

 さて、このヒロインの名前はどういう理由か作中に説明があるのかな、とページをめくったらうっかりそのまま読みふけりそうに。比較的最初の方に、理由を知ってもどうせ名前は変えられないし、という理由で親には訊いていないと書かれていました。
 なるほど、そういう女の子なのね、と深く納得。名前のエピソードひとつでも、すらりとキャラクターが立ち上がってくる感があります。
まいなす

著者名:太田忠司(著)
出版社:理論社
出版年:2008.11
ISBN :9784652086292

本家サイト感想文一覧 63870 太田忠司
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2008年11月11日

ワンナウツ 3と6

 3巻をリアル書店で購入しました。ついでに6巻も購入です。
 一気にガーッと買ってしまおうかと考えなくもなかったのですが、『ONE OUTS』がある棚に辿り着くまでに、すでに片手で持つのが困難な厚みの本を抱えていたので、我慢しました。
 ゆっくり買いますよ。うん。

 とばしてしまった3巻、2巻で目立っていたのに4巻で姿が消えていたキャラの行方が知れました。
 なるほど……。そういうことか! 行ってこーい!
 勝つというのは敗者を踏み台にすること、って真理ですよね。わたしは足が遅くて運動会その他で負けまくっていたのですが、小学生当時のわたしに父が曰く。
「負ける人がいなきゃ、誰も勝てないんだから」
 だからなんだというわけですが、だから勝者は敗者の存在抜きには語れないということですネ。まあ、わたしはそのように理解しました。なつかしいなぁ(と、個人的な回想にふける……)。
ONE OUTS 3

著者名:甲斐谷忍(著)
出版社:集英社
出版年:2000.04
ISBN :9784088760124
ONE OUTS 6

著者名:甲斐谷忍(著)
出版社:集英社
出版年:2001.12
ISBN :9784088762487
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2008年11月09日

献本御礼:牢の中の貴婦人/ライラック・ホテルの怪事件

 東京創元社さまより、お送りいただきました。いつもありがとうございます。

『牢の中の貴婦人』の方は、〈デイルマーク四部作〉の原形、と表四に書かれておりました。原形ということは、〈デイルマーク〉より前に書かれたものなのかな? ふつうの人が突然、異世界へ行ってしまうというパターンの物語のようです。
 本家サイト感想文一覧 63870 デイルマーク王国史
牢の中の貴婦人

著者名:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ(著)
原島文世(訳)
原島文世(訳)
出版社:東京創元社
出版年:2008.11
ISBN :9784488572105


 もう一冊は、ナンシー・ドルーの最新刊。
 いつものことながら、カバー・イラストレーションがすごくかわいらしい。メリケンのハイ・ティーンの女の子って、こんなに幼い風貌ではないだろうなとは思うのですか、でも好きです。
ライラック・ホテルの怪事件

著者名:キャロリン・キーン(著)
渡辺庸子(訳)
渡辺庸子(訳)
出版社:東京創元社
出版年:2008.11
ISBN :9784488250065
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2008年11月08日

読了メモ:日の名残り

 いわずと知れた、ブッカー賞受賞作。読みはじめ、なんともいたたまれない気分になりましたが、最後まで読んでよかったと思える本です。なるほど、これは名作。

 主人公のスティーヴンスは執事です。それはもう完璧に執事。いわゆる執事。
 だからこそ、時代遅れ(小説の舞台となっている1956年においてすら)の存在になりつつあるのです。マナーハウスを維持できる英国の名家などというものは、そうありません。よって、彼が長年仕えたお屋敷はアメリカ人に買い取られ、主人公は今までにない試練のときを迎えています――違う文化圏から訪れた新しいあるじは、自分にジョークを求めているのだろうか、と真面目に考え、研鑽を積むべきかもしれないと悩むほどに。

 物語はスティーヴンスの一人称で進み、回想を交えて前後する時間軸を自在にあやつりながら、英国の田園地帯をゆっくりと旅して行きます。
 そう、スティーヴンスは休暇を得て自動車のハンドルを握っているのです。旅する先は、かつての同僚、頼もしい女中頭だったミス・ケントン。
 旅をするということは、邸を離れることです。それによって、彼は意図せず、新しい場面に自分を置くことになります。「ダーリントン・ホールの執事」としてのアイデンティティについても、さまざまに考え直さざるを得ない旅――これがもう、ほんとうに、いたたまれない。
 あんまりいたたまれないので、つい、途中で最後の解説を読んでみたら、ラスト・シーンについてはっきり言及されていてガックリです……いやもうネタバレしたからどうのこうのという小説でないことはわかっていますが! わかっていますが!
 それを除けば、解説も素晴らしかったのですが。

 つまり、ネタバレされたのどうのと他人様のせいにせず、最後までまず自分で読め、ということですね。うむ。
 というわけで、このエントリーをご覧になって興味を持たれたかたは、どうぞ読んでみてください。
 美しく、いたましく、力強く、いとおしい小説です。著者の眼差しの静かな、押しつけがましくないホスピタリティとでもいうべきあたたかさに心打たれます。
日の名残り

著者名:カズオ・イシグロ(著)
土屋政雄(訳)
出版社:早川書房
出版年:2001.05
ISBN :9784151200038


 日記。
 拙著の感想用エントリーですが、またまたコメントとトラックバックをいただきました。【みりおんぐらむ】の t-snow さんと、【屋根裏物置】のさりさんからです。ありがとうございます。
 下巻でラブ成分が高まるのかどうかは別の場所でも質問されたのですが、えー……答えてしまうと却って叱られそうな気もしますので、お読みいただくときのお楽しみ、ということでご勘弁ください。
posted by うさぎ屋 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説

2008年11月07日

献本御礼:ゴッデス! 3

 ひかわ玲子さんよりお送りいただきました。ありがとうございます!
 副題は「最終戦争(ラグナロク)って大変なの!!」です。

 あとがきを拝見したところ、刊行ペースが遅いと読者からお叱りを受けたとか……って、ぇぇぇえええええー! ひかわさんほど仕事してても遅いなんてー! 無理! 無理無理ッ!
 と、なんとなく錯乱しかけました。自分がいわれたわけでもないのに。
 落ち着きましょう、って感じですよ。
ゴッデス! 3

著者名:ひかわ玲子(著)
出版社:ホビージャパン
出版年:2008.11
ISBN :9784894257849


 日記。『翼の帰る処(上)』感想募集用エントリーですが、トラックバック、第二弾を【booklines.net】の deltazulu さんからお送りいただきました。ありがとうございます!

 コメント欄にも感想コメントをいただけまして、えへえへ喜びながら読み返している昨今です。ここ数年は、自分のためというより読んでくださるかたのために書いている感が強いので、やはり、読んでもらえる、喜んでもらえることが、なによりの励みになります。
 編集さんへの応援のお言葉も、忘れないように伝えておきます……でもこれ以上頑張られても、どうなのだろうか。わたしの能力の上限はこう。ミニマムな感じなので!
 とりあえず世間一般に期待されるような刊行ペースは、いろいろ無理だと思うのです(上の方参照)。
posted by うさぎ屋 at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2008年11月06日

献本御礼:仮面の大富豪

 東京創元社さまより、お送りいただきました。いつもありがとうございます!

〈ライラの冒険〉のフィリップ・プルマンによる別シリーズで、ヴィクトリア朝を舞台にとっているとか。
 帯によればBBCでドラマ化されたものが、CSミステリチャンネルにて今月放映予定だそうです。
 ヴィクトリア朝は映像でみると豪勢でいいですよね。いろいろと。服につかっている布の量とか。CSは受信できないのですが、スチルでも見られないかしらと検索してみたところ、番組紹介のページを発見。
 http://www.mystery.co.jp/program/sallylockhart.html

 やっぱりこういうドレスとかスーツとか小道具とかの世界、いいなぁ……。
仮面の大富豪 上

著者名:フィリップ・プルマン(著)
山田順子(訳)
出版社:東京創元社
出版年:2008.10
ISBN :9784488019624
仮面の大富豪 下

著者名:フィリップ・プルマン(著)
山田順子(訳)
出版社:東京創元社
出版年:2008.10
ISBN :9784488019631

本家サイト感想文一覧 63870 フィリップ・プルマン
posted by うさぎ屋 at 13:29| Comment(14) | TrackBack(0) | 日記

2008年11月04日

読了メモ:ホアズブレスの龍追い人

 寝る前に少しずつ読んでいました。マキリップの短編集です。
 マキリップはジュヴナイル以外はわりとこう、輪郭の曖昧な話を書く作家なんだなぁ……と。近年翻訳された作品を読むたびに少しずつそういう想いが深まっていったのですが、この短編集もそうですね。
 明解なキャラクターとか、起承転結のドラマとか、そういったくっきりとした印象のものではなく、光があたることで生まれる陰影とか、世界をくるりと裏返してみたときの眺めとか。抽象的な表現ですが、そういう物語を書く作家なんだなぁ、と感じました。

 表題作なども、輪郭をはっきりさせようとするとぜんぜん別の話になるんじゃないか、と思うのです。
 龍と戦うすべを知っている若者が、故郷を覆う冷たい冬の原因が龍だと知り、それを追い払うために帰郷する――道案内にたった娘は、龍追い人を迷惑に感じつつ否定もできず、そして彼とともに龍を見ることになって……といった最初の設定と構造だけを抜き出すと、それこそライトノベルのレーベルから刊行される作品にあってもおかしくないのですが、マキリップはあくまで影の部分、闇に沈んで輪郭が判然としない方へと筆を向けていってしまう。
 救い手が英雄となり世間の評価を得るのがエンターテインメントの常道ですが(なぜなら、多くの読者は主人公が報われるのが好きだからです)、本書に収録された短編の主人公たちは、人生の舵を光のあたる方へ取ろうとは思わない。
 選択肢にはじめから出てこないのでは、という気もします。

 短編集なので、あの作品が好き、この作品がよかったと書くべきなのでしょうが、選べないなぁ……。
 ロマンス好きとしては「どくろの君」かなぁ。でも、この短編集の中にあると、「どくろの君」はいかにもストレートでわかりやすくて、マキリップならではの魅力は薄めかもしれないと思ってしまうし。それでも好きですが。
 あとは表題作、「音楽の問題」「トロールとふたつのバラ」「よそ者」「心のなかへの旅」とか……うーん、選ぶの難しいですね。充実した短編集だと思います。
ホアズブレスの龍追い人

著者名:パトリシアA.マキリップ(著)
大友香奈子(訳)
出版社:東京創元社
出版年:2008.08
ISBN :9784488520083
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2008年11月03日

3巻が来ない

『ワンアウツ』……賭け野球出身の、読みあい、ペテン、引っかけ、化かしあい、ブラフ上等、勝ってなんぼが身上のピッチャーを主人公にした、いわゆる「野球漫画」のイメージからはかなり遠い野球漫画です。
 1〜2巻を読んでみておもしろかったので、3〜5巻までを amazon で注文しました。3巻が3〜5日表示だったので、ちょっと時間がかかるかなと思っていたら、じりじり遅延して、そのあと注文した本が先に届いたりといった状況になった挙げ句、「3巻が手配できないので、他のだけ先に送るネ!(意訳)」というメールが来ました。

 ぇー。
 4と5だけ先に届いてどうすればいいのー。
 と、途方に暮れたのも束の間、結局、両方読んでしまいました。はっはっはっ。
 やっぱりおもしろいです。あり得ないわと思いつつ、おもしろいからよいのです。あのリカオンズの監督にはなりたくないなぁ……。

 ところで現在、日本シリーズ中ですが、初戦、第二戦とわたしがチャンネルをあわせたとたんにデッドボールだったのは、なんの呪いでしょうか。なんの呪いでもないでしょうが、あんまり嬉しくないであります。
ONE OUTS 4

著者名:甲斐谷忍(著)
出版社:集英社
出版年:2000.12
ISBN :9784088761077
ONE OUTS 5

著者名:甲斐谷忍(著)
出版社:集英社
出版年:2001.08
ISBN :9784088761978


 日記。現在、下巻の再校ゲラを見ております。頑張ります。もうちょっとです。
 あとがきは下巻にも入ります。四ページ……ぇぇえええええー! あとがきはできるだけ書きたくないので、そんな長くするなら編集さんに登場してもらって間をもたせますけどヨロシイですね! と、了解をいただき、編集さん大活躍のあとがきになりました。
 ふー。
 これで……だいたい終わると思うのです。

 感想トラックバック&コメント、ひきつづき募集中です。一件も来なかったらどうしようと思っていたのですが、【宵のつれづれ】の高さんが早速送ってくださいました。
 楽しんでいただけたようで、よかったです。下巻もご期待を裏切らない出来になっていればよいのですが……。発刊まで、暫しお待ちくださいませ。
posted by うさぎ屋 at 01:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画

2008年11月02日

読了メモ:ここから出して!

 副題は、「殺人犯に監禁された少女の告白」。実録犯罪ものですが、著者が連続少女監禁殺人事件の被害者自身であるというのが本書の特徴でしょう。誘拐され、監禁されて生き延びること自体がレア・ケースですし、その体験をみずから語ろう、本にしようという被害者は少ないのではないでしょうか。

 一種のセラピー本というか、自分自身の中でこの事件にひとつの区切りをつけるために、彼女はこれを書かねばならなかったのかもしれないな、と読みながら思いました。
 十二歳の少女が自転車で学校に行く途中、さらわれて監禁される。その体験も凄まじいのですが、この本は救われても終わらない被害者の苦悩について、いろいろと教えてくれます。
 テレビをつけると、自分の顔が映っている。新聞にも載っている。見知らぬ人が、まあかわいそうに、と彼女を抱きしめようとする。あからさまな心ない言葉はもちろん、度を超した気遣いによっても疲弊し、世の中とのかかわりを維持していくのか困難になる。当然、家族とのあいだもギクシャクする……。

 やりきれないのは、彼女が生き延びてしまったという事実にどうしても罪悪感を拭いきれずにいる、という場面があることです。
 犯罪被害者の少女たちのための催しに、ほとんど使命感のようなものを覚えて出席したサビーヌは、そこで、娘を失った親たちの前に立つことになります。
 これがうちの娘、と写真を見せられて、まるで「娘は死んだのになぜあなたは生きているの」と問いかけられているように感じるサビーヌ。彼女はなにも悪いことはしていない、卑劣なのは殺人犯だとわかっていても、割り切れないのです。
 また、救出のきっかけは、次の被害者レティシアがさらわれたとき、目撃者が多かったからなのですが、レティシアが被害に遭ったのは自分のせいではないか、とサビーヌは自責の念にかられることになります。なぜなら、長い監禁生活に疲れ果てたサビーヌは、犯人に「友だちがほしい」と訴えていたからです。

 悪いのは犯人のデュトゥルーという男なのに。

 サビーヌは本書を「犯罪者の再犯防止」の一助になれば、という思いもこめて書き上げたそうです。なぜなら、彼女を監禁した男は、すでに強姦などの罪により刑務所に入れられていたのですが、模範囚であるということで、検察官や精神科医の反対も虚しく釈放されてしまった――そのため、六人の少女がさらわれ、四人は遺体となって発見されるという事件が起きたからなのです。

 重苦しいテーマを扱う本書ですが、サビーヌの不屈の闘志は、読者を元気づける力をもっています。やりきれなさを覚えるのもたしかなのですが、人はすべてを乗り越えていけるのだ、とも思える一冊でした。
ここから出して!

著者名:サビーヌ・ダルデンヌ(著)
松本百合子(訳)
出版社:ヴィレッジブックス
出版年:2007.12
ISBN :9784863329324
posted by うさぎ屋 at 11:58| Comment(0) | TrackBack(0) | その他の本

2008年11月01日

読了メモ:三国志 2

 すごく期待していた宮城谷三国志ですが、うーん……。おもしろいんですけど……おもしろいんですけど、おもしろさの種類が「小説」に求めるものではないですね、わたしにとっては。ちょっと残念。
 あれこれの史実を並べて読ませてもらえるのは、すごくおもしろいです。正史三国志にあたった「だけ」ではわからないようなところからも、どんどんネタをひっぱって紹介されて、へぇええ〜! と眺めて感心する次第。
 それはよいのですが、キャラクターに感情移入して作品世界に没入するという読みかたをするわたしにとっては、人物名が登場しては消え、登場しては消え、ああ曹操の祖父がようやく前面に出てきた、きっとここからは彼の物語になるのだ……と思ったらそうもならず、彼もいつのまにか消えている……という展開は、突き放されてしまったようで、どうにも読みかたがつかめない感があります。
 この本とのつきあいかたがわからないよ〜(ソウルイーターのクロナ風に)

 この本の主人公は人物ではなく、後漢から三国鼎立へ向けての時代の流れ、歴史そのものなんじゃないかなぁ、と思いました。
 おもしろいので、たぶん続刊も買いますが……続刊もずーっとこんな感じなのかなぁ。
三国志 第2巻

著者名:宮城谷昌光(著)
出版社:文藝春秋
出版年:2008.10
ISBN :9784167259228

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posted by うさぎ屋 at 19:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説