先日の、『
風の王国 波斯の姫君』の感想で、読みかけていると書いていた『大唐帝国』を、ようやく読み終えました。
先に書いたように、扱っている範囲は唐のみではなく、三国鼎立から始まり、おおよそ唐代までつづいた「中国中世史」となります。ただし、中国史において「中世」をどこからどこまでと看做すかは、学派によって異説もあるとのことで(ちょうど知人にそういう話を教わったばかりだったので、ああ、このことかと思いました)、誤解を避けるために「大唐帝国」というタイトルを採用したとか。
……いやでも、これはこれで誤解を招くような。てっきり、分厚い文庫一冊みっちり唐代の話かと思いこんで買う人が、きっといると思うのですよ。
ちなみに、いわゆる三国志的な範囲だけで、100ページくらいあります。
唐代に突入するのは、319ページから。この間の200ページで、王朝がどっこどっこ興ったり滅びたりしています。たぶん、「三国志後」の展開に興味をもった人にとっても、かなり楽しめる本ではないかと思います。
そして、唐代自体は100ページに満たない程度の記述になっているので、「やばい、〈風の王国〉のネタバレになるのでは?」は、杞憂でした。逆に、文成公主は一行でかたづけられちゃってツマンナイ! とか、それくらいです。
宮崎市定氏の文章は、論旨も明快で捩れが少なく、かつまた表現も洒脱さが感じられ、わたしはかなり好きです。
史観と、それを支える該博な智識が素晴らしいのはもちろんのこと、やはりそれを人に伝えるための文章が巧みであることは、読者にとっては嬉しいものです。
ぱらりとページをめくっただけでも、たとえば「その活動は虎に翼が生じたごときものである(p.395)」とか。いい表現が随所に出てきます。
中央公論新社(当時は「新社」じゃなかったと思いますが)から『
世界の歴史 6』として出版されたものが、河出文庫から出し直された、……と考えてよいのでしょうか。初版のデータが文庫自体に記載されていないように思います。著者の「文庫版あとがき」に、初出は1968年と書かれているのですが……。でもこの中央公論新社版は、1961年初版というデータになってるんですよ。うーん。
| 世界の歴史 7 |
 | 著者名:宮崎市定(著) 宮崎市定著 出版社:河出書房新社 出版年:1989.09 ISBN :9784309471662 |